NEWS | 建築
2009.10.17 16:36
建築の新たな潮流を見出すべく、若手の建築家を対象に、作品とその背後に潜む思考や感覚に迫るシリーズの第5弾。『アトリエ・ワン 空間の響き/響きの空間 (現代建築家コンセプト・シリーズ)』
アトリエ・ワン 著(INAX出版 1,890円)
今回は、1992年の設立以来、建築作品はもとより、都市をテーマにしたリサーチやフィールドワーク、ワークショップなど多様なシーンにおいて独自の手法を展開し、その創造的手法が海外の建築家や学生などからも注目されるアトリエ・ワン(塚本由晴、貝島桃代)の取り組みを追う。こんな場所があったら楽しいと思わせる彼らの建築が、そののびのびとした思考によって培われているのだということは、目次に記された項目を見ても歴然。ページをめくるたびに、アトリエ・ワンが向き合う都市や空間、あるいは人との対話が聞こえてくるようだ。狭い内部に閉じこもらず、外部に開くことで、都市全体を住みやすい環境に変えていく、という発想は、建築の新たなかたちを予兆させるのに十分な迫力を持つ。
以下、目次より
・ 建築の経験、空間の響き──序にかえて
「あり方」/「やり方」/空間の響き
・お面
定型と変形/周囲の建物と共有可能な修辞/風景、町並みに対する責任
・ 虫採り
機械モデルから生物多様性モデルへ/環世界、環境ユニット、環境的知性/
メイド・イン・トーキョー
・動物の模型
抽象と具象/素材の性質をデヴァイスにする/生命的ニュアンス
・イヌとイス
フォーマット/プロポーション/パフォーマンス
・掃除
油滴の振る舞い/アフォーダンス/空間的実践
・ スポーツのコート
ルールの更新、仮説と空間/視覚芸術と時間芸術
・六本木交差点
群衆的知性/マイクロ・パブリック・スペース/フラックス・ マネージメント
・居候
主体に関する枠組みの掛け合い/人間以外のものの空間の知覚/寛容さ
・ 乗り換え
流れの空間/公共空間のイメージ/空間から時間へ/
建築は時間的乗り物であり、生活は乗り換えの連続である
・治具
道具から治具へ/モノ、ヒトがいきいきするための再配置/生態学
・建物の世代
混沌とした風景の読み方/世代の混在/第4世代
・ 車の停め方
住宅地における車の取り扱い/共有性/観察と非定着
・ビルの知性
餡と皮/パラッツォ的状況の出現/連続性、反復性
・ 東京のモニュメント
英雄的空間/建物と都市計画のずれ/隅田川への引っ越し
・ 郊外の郊内化
郊外から郊内へ/地形/地域
・振る舞いのかたち