宮本佳明さんが設計する、100年保つ巨大なコンクリート製の屋根が出現

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写真提供/宮本佳明建築設計事務所

7月1日に発売となったAXIS 140号では、2009年後半から2010年にかけて出現する予定のプロジェクトの数々について紹介しました。 そこで取り上げた建築家、宮本佳明さんのプロジェクト、「澄心寺(ちゅうしんじ)」の最新の現場写真が届きました。

個人的にも興味を惹く内容が多かったこの特集。気になるのは、やはりその後の進捗具合です。「続きはウェブでね!」という最近のテレビCMの常套句ではないですが、近況のわかったものから続報を紹介できればと思っています。

「屋根。100年」という力強いコピーで紹介したのが、長野県箕輪町で進む、宮本佳明さんによる寺の庫裏(くり)を設計するプロジェクトでした。住職やその家族が暮らす居住スペースと、地域に開かれた「コモン」としての役割を備えた空間を、幅22m、奥行き14.5mに及ぶ巨大なコンクリート製の屋根が覆うという構成は、100年は永続するインフラとしの高強度なRC屋根の下に、インフィルとしての軽快で可変性のある木造内部が入るという発想によって導き出されたものだといいます。

模型写真

「屋根は100年、200年と使い続けられる丈夫な躯体にしよう。内部は後からどう変化させてもいい」と、宮本さんは取材で語っています。550年以上の歴史を抱える寺の性格を継承しながら、新たな機能を加え、将来に繋げていく……そんな思いが、この屋根のデザインには託されているということでしょう。

長い耐久性を備えた屋根は、いつまでも変わらない風景を、この地に築くことでもあるといえます。完成の暁には、ぜひ現地を訪ね、その景色を眺めたいものです。

澄心寺
住所:長野県上伊那郡 箕輪町大字三日町 289
Tel:0265-79-3057