REPORT | デザイン誌「AXIS」
2009.09.12 21:21
Photos by Yoshiaki Tsutsui
なぜか人骨(もちろん模型)を持って現れた「フィリップ・スタルク Philippe Starck」氏。AXIS77号(1999年1・2月)の表紙に登場いただきました。
飄々としながらも、撮影が始まるとカメラの向こうを睨むのではなく、じっと見つました。何かのメッセージを送るように。
「デザインは死んだ」。これは氏がよく使う言葉。数多い作品は、デザインした結果ではなく、伝えたいメッセージがそれだけあった証拠だと。
「小数の作品しか製作しないような“エリート主義的な”芸術は、社会から盗みを働いているのと同じだと思います」
「私の目標は、現在市場に出回っているいろいろな製品に、新しいものを付け加えることではありません。デザインは死んだ、と私は考えています。デザインという言葉に固執するのであれば、私の本意ではありませんが“政治的デザイン”ということになるでしょう」
「私がほかのデザイナーと大きく違うところは、私がデザイナーではないということです……。デザインや建築には興味がありません。人間や社会、文明に興味があるのです。人間という大きな問題の根源を見ずに、その帰結だけを扱うのではなく、もっと上のほうで問題を捉えなくてはいけない」
「クリエイターになるために素養とか教育は必要ありません。自分がどれだけ集中できるかを学び、人々に喜びと幸福を与えたいと欲した瞬間、誰もがクリエイターになれるのです」
フィリップ・スタルク/1949年フランス・パリ生まれ、ノートルダム・ド・サントクロワとエコール・ニッシム・ド・カモンドでデザインを学ぶ。79年にスタルク・プロダクトを設立、ミッテラン大統領官邸エリゼ宮殿の改装をはじめ、東京・浅草の「アサヒビール・スーパードライホール」など日本のプロジェクトも数多く手がける。ホームページはこちら。