REPORT | デザイン誌「AXIS」
2009.08.14 21:08
Photos by Yoshiaki Tsutsui
撮影が始まるや、おもむろにシャツの袖をまくり上げ、カメラに向かってニヤリと笑った「ジャン・ヌーベル Jean Nouvel」氏。迫力満点でした。登場いただいたのは、AXIS 75号(1998年9・10月)。
その革新的、かつ反逆的ともいえる試みで、常に社会への問いかけを行ってきた氏の発言と行動は、建築という分野だけに止まるものではありませんでした。
21世紀を前にしての氏の発言の数々は、まるで今の世界を見透かすかのようでした。
「グローバリズムには画一化の危険があります。世界規模の情報化による画一化によって、文化の貧困化に向かうという危険です」
「ブルジョアたちを驚かせるためだけに仕事をやって来たのではありません.建築の中に、その時代の文化や美的価値を表現しようとしてきたのです」
「ショッピングセンターの設計には罠があります。クライアントはそこに建築を望んでおらず、中で行われる商業活動を隠したいと考えているのです」
「建築とは何かの本質を創造することであり、外見を創造しているのではありません」
ジャン・ヌーベル/1945年フランス生まれ。ボザール国立藝術大学卒業。フランスの建築運動「1976年3月」「フランス建築連合」の創設メンバー。パリ・レアール地区の再開発計画主要運営組織メンバーなど、フランスの建築界の動向に深く関わってきた。主な作品に「アラブ世界研究所」(1987)、「カルティエ現代美術財団」(1994)、「電通本社ビル」(2002)など。現在は建築に止まらずインテリアやプロダクトなど幅広い分野で活動を続けている。ホームページはこちら。