コンセプトもデザインもブレない、リコー GR DIGITAL III

発表会会場の様子(RICOH CX1にて撮影)

▲発表会会場の様子(RICOH CX1にて撮影)

発言や言動のブレが命取りになるのは、政治の世界の話。でも、写真の世界も、「ブレ」は敬遠される大きな要素です。例えば、撮影時の手ブレ。これは技術の恩恵もあって最近減りつつあるようですが、愛玩などと称される写真機がモデルチェンジを行うたびに、マーケットの要請だといってコンセプトやデザインの刷新を繰り返えすなら、それはユーザーの信頼を裏切る行為と目され、支持者離れを加速させる原因にもなりかねません。

3つの開発コンセプト。1番目と2番目の項目は、前機種でも盛り込まれた発想。

▲3つの開発コンセプト。1番目と2番目の項目は、前機種でも盛り込まれた発想。

熱烈なユーザーに支えられる商品にあっては、コンセプトやデザインがブレることなく、さらなる進化を遂げることは宿命ですが、しかし、この命題が容易いでないことは、カメラのみならず、クルマやオーディオ製品などの事例を見ても明白です。

そんなモデルチェンジの手本と言ってもいいのが、高級コンパクトカメラ市場を開拓してきたリコーのデジタルカメラ、GR DIGITAL。2005年に初代がリリースされ、07年に後継機となるGR DIGITAL IIが発表された際も、薄型のコンパクトボディに、高い描写力を可能とするレンズやノイズ処理に優れた画像エンジン、高い操作性を実現したインターフェースをパッケージングするという構成はほぼ全面的に踏襲。モデルチェンジの末期に商品を購入した層を悔しがらせることもなく、それでいて新たなユーザーを獲得するなど、正統的進化を遂げました。

それから、1年8カ月。一眼レフ志向の高まりや、競合による参入など、GR DIGITALを取り巻く環境も様変わりするなか、あえてそうした変化の流れに迎合することなく、再び「不変の開発思想とコンセプト」に磨きをかけたのが、3台目となるGR DIGITAL IIIです。

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前機種と並べると、外観の変化はわずか。一卵双生児が並び立つようにしか見えないかもしれません。ただ、目を凝らしてよく見ていくと、ボディの右下に刻まれた「GR」ロゴが、印刷ではなく凹形状に刻印されていたり、堅牢なマグネシウムボディも、より素材の質感が生きるような加工を施すなど、高級感を演出する細かな工夫が随所に見られます。一方で、ボディからはうかがい知れない内部については、特殊低分散ガラスレンズを3枚用いた新設計のGRレンズや、低輝度時に特に威力を発揮する新画像エンジン、高感度1000万画素CCDの採用など、画質のさらなる向上を実現する大幅な機能改良が施されています。

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一眼レフカメラでしかできないと思われている領域に踏み込んだ表現力と、一眼レフでは叶えられない常に持ち歩ける携帯性を同時に備えたGR DIGITAL IIIは、その「ブレ」ない開発スタンスでもって、画質、デザインともに高いレベルを求めるユーザー層との公約をきっちり果たし得たように見えます。その意味で、いっそうの支持拡大が見込まれるのではないでしょうか。

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店頭での発売は8月5日から。それより早く実機に触れたい人は、写真の新たな楽しみ方を発見する場として、同社が銀座で運営しているRING CUBEにて、今月29日より展示が始まるので、そちらへどうぞ。同スペースではこの日より、動物写真家の前川貴行氏の作品を、ほぼ原寸大の大きさに引き伸ばして展示するという「銀座どうぶつ園」なる企画展(会期は、8月31日まで、毎週火曜日休園)もスタートします。ギャラリー内の空間デザインは、GR DIGITALのデザインなども手がける同社デザイン部が担当するとのことで、こちらの演出もカメラ同様楽しみです。

「銀座どうぶつ園」の会場模型。RING CUBEの住所:東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター(受付9階)

▲「銀座どうぶつ園」の会場模型。RING CUBEの住所:東京都中央区銀座5-7-2 三愛ドリームセンター(受付9階)