Designers on AXIS cover 4
「ソラブ・ボソギ」

Photo by Yoshiaki Tsutsui

Photos by Yoshiaki Tsutsui

AXIS 73号(1998年5・6月)の表紙に登場いただいたのは、プロダクトデザイナーで、米国ポートランドに本社を置くデザイン会社ジバデザインの設立者・社長の、「ソラブ・ボソギ Sohrab Vossoughi」氏。

イランのテヘランに生まれ、米国に渡った後、大学で機械工学を志すものの、デザインと出会い……今へと至る。そのユニークな遍歴が故に、氏はデザインをより広い意味でとらえることができたのかもしれません。

Photo by Yoshiaki Tsutsui

▲Photo by Yoshiaki Tsutsui

いち早く「ビジネスとデザインの融合」を謳っていた氏の当時のインタビューは、今へと繋がる幾つもの示唆に富んだものでした 。

「ここ4年くらいの傾向ですが、モノをデザインするというよりも、企業の戦略的デザインのほうへシフトしてきています。デザインとビジネスをいかに融合させていくか。企業はどの方向へ進むべきか……」

「われわれは自分たちのことを、クリエイティブ・ビジュアル・シンカー(Creative Visual Thinker)だと言っています。モノをデザインするのではなくて、経験をデザインするということです」

 「デザインとは、シンキングプロセス、つまり考え方によって問題を解決するということです。……そしてデザイナーとは一見何の関連もない事柄を結びつけて視覚化することに長けている人たちなのです」

 「デザインをアートではなくてビジネスの文脈で考えることができれば、そこに大きな価値が生まれるのです。……美しいモノやかっこいいものはいくらでもつくれますが、それ以前に、企業にとって正しい製品でなければなりません」

ソラブ・ボソギ/1956年イラン・テヘラン生まれ。71年に渡米し米国籍を取得。機械工学を志しサンノゼ州立大学に入学。その後インダストリアルデザインと出会い、進路を変更。79年同大学を卒業後、ヒューレット・パッカードに入社、インダストリアルデザインおよび人間工学を担当。82年よりオレゴン州ポートランドの新進企業のためにデザインコンサルティングを開始する。84年ジバデザイン設立。アメリカ工業協会(IDSA)やビジネスウィーク誌のベストデザイン賞など受賞多数。