写真家の鈴木 豊さん、新たな鳥瞰写真に挑戦!

Photo by Yutaka Suzuki

▲Photo by Yutaka Suzuki

本誌連載「匠のかたち」でお馴染みの鈴木 豊氏は建築写真家でもあり、ヘルツォーク&ド・ムーロンから建物が完成するたびに案内が届くほど、広く活動しています。その鈴木氏が撮った、これまで目にしたことがないような鳥瞰写真をご紹介します。

1つは、アマテラス都市建築設計による「杜の家」。5月末に「東京建築賞・第35回建築作品コンクール」(主催 : 東京都建築士事務所協会)の戸建住宅部門で最優秀賞を獲得した別荘です。木製の壁柱が並んだ森の木々に溶け込むような住宅を、地上約14mから捉えた写真。まるで森にさえずる小鳥になったかのような目線です。

もう1つは、5月末に竣工したばかりの住宅「bb project」。設計は、WM+associatesによるものです。地上約12mから見た写真によって、建物のかたちがよくわかります。

Photo by Yutaka Suzuki

▲Photo by Yutaka Suzuki

鈴木氏がこの鳥の目線を求めたのは、2008年に行われたシャネルのアートプロジェクト「モバイルアート」がきっかけでした。ザハ・ハディドの巻貝のようなパビリオンをフィルムに収めたいと考えたものの、周囲に屋上に上がれるビルはなく、かと言って、ヘリコプターでは上空すぎるし、編集部にはそんな予算もない。そこで、市販のポールを繋いで手製の道具をつくり、3人がかりでポールを支える作戦に出たのです。

しかし、カメラの重さでポールはしなり、アングルを安定させることは至難の業。もちろん、下のような写真を撮ることはできましたが、鈴木氏はより高さを求めて、新たな撮影方法を模索。航空写真とは異なる、小鳥の目線の鳥瞰写真を実現したのです。目線を上げることで、これまで見たことのない世界が広がります。