18年振りの刷新、新型成田エクスプレス

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首都圏と成田空港を結ぶJR東日本の高速列車、成田エクスプレス(通称、「N’EX(ネックス)」の新型車両が、いよいよこの秋より登場する。18年振りの刷新となる新車両は、従来のN’EXのイメージを踏襲しつつ、乗り心地やセキュリティーの面で大幅な改善が計られた。デザインは初代に引き続き、GKインダストリアルデザインが担当している。

新型車両の報道公開は、鎌倉市にあるJRの車両センターで行われた。ひと際目を引く真新しい車両が、関係者がE259系と呼ぶ新型だ。ちなみに、現在走る初代はE253系と呼ばれる。白、グレー、赤によるボディーの配色使いは従来と変わらないが、赤いイメージを強かった初代に対して、2代目は白いイメージにまとめられている。とりわけ先頭車両では、その感が強い。

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外観部においてデザインの違いをもっとも感じさせられるのも、この先頭車両だ。正面から見ると、運転席が2階に設けられていることがすぐにわかる。これは、先頭車両同士を連結した際、乗客が行き来できるようするために採られた策である。連結時には、N’EXと縦に白地で書かれたグレー部分が両サイドにスライドし、なかから連結用のデッキが飛び出す仕組み。連結に要する時間はわずかに1分程度と、スピード化も計られた。

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6両を1編成とする新型では、5両の普通車に1両のグリーン車が連結する。4カ国語対応の液晶モニターがそれぞれの車両ごとに14台設置され、フライト情報や停車駅の案内、天気予報などを映し出す。座席下に手荷物などが置けるスペースも確保。肘掛けの先端部にはコンセントの差し込み口も用意する。高速無線LAN接続などのサービスも展開予定だ。荷物置き場には防犯カメラや盗難防止用の鍵も設けられた。

車内のインテリアでは、床(グリーン車は絨毯)、そしてシートやブラインドのファブリックに、市松模様があしらわれているのが特徴だ。グリーン車ではシートに本皮を採用するなど天然素材を多用することで、空間としてのグレードを高めながら、暖かみも演出する。90分から120分弱の移動とはいえ、こうした配慮が疲れた身体には何とも嬉しい。

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願わくば、高速化によって少しでも移動時間を短くしてもらいところだが、こちらの要望は残念ながら叶えられなかったようだ。最高速度は現行と同じで時速130km止まり。日暮里と成田空港を最高時速160km、36分で結ぶ新型スカイライナー(2010年運行開始)にはどうしてもスピードで劣ってしまう。が、あえて同じ土俵に上らず、快適性や安全性、多様な運行ルートなど利便性の面で、支持(利用者)拡大を目指すというのが、そもそもの開発の出発点であり、この点において過不足なくまとめられているというのが、新しい成田エクスプレスの感想だ。特に、身体の疲れを癒したい空港からの帰りは、積極的にこの新型(可能であればグリーン車)を選びたいと思えた。秋のダイヤ改正の目玉になることは間違いない。

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