【開催終了】チェコのキュビズム建築とデザイン 1911-1925展

幣誌連載「匠のかたち」で写真を撮影していただいている鈴木 豊さん。ものづくりにこだわる職人たちの技と想いに迫った写真は、間違いなくこの連載の魅力の1つでしょう。そんな彼は、実はキュビズム建築に魅せられ、10年以上にわたりチェコでその造形を撮り続けてきた写真家でもあります。京橋のINAXギャラリー1で始まった「チェコとキュビズム建築とデザイン 1911-1925」展(会期は5月23日まで)にて写真の一部が展示されていると知り、さっそく先週末に展覧会を見に。

キュビズムという呼称を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、20世紀初頭、パリでピカソやブラックなどが始めた芸術運動です。絵画を中心に当時一世を風靡したこの流れが、建築やデザインにまで波及したその唯一の国がチェコだったというのは、知りませんでした。

r00100851当時の若手建築家らによって短期間のうちに花開いた独自の建築スタイルは、それらが立ち並ぶプラハの街を中心に、現在も見ることができるといいます。また、彼らの関心が建築のみならず、陶器や照明、家具などにも及んでいたことが、展覧会を通してわかります。

グニャと折れ曲がったり、ゴツゴツした表面、結晶体のように複雑なフォルム……今では当たり前のように散見できるスタイルですが、豊かな表情やダイナミズムという点で、昨今の表層的スタイルとは明らかな違いを見て取れます。

展覧会は、ヨゼフ・ホホル、ヨゼフ・ゴチャール、バヴェル・ヤナークの3人の作品が主となっていますが、作品を見るとこの人たちの才能や力量のすごさがひしひしと伝わってきます。
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すでに現地でも希少な文化遺産となりつつあるようですが、キュビズムのエッセンスを細部にわたり丁寧に切り取った鈴木さんの写真が、その魅力を後世に伝え続けていくのではないでしょうか。13日(金)には藤森照信氏を迎えての講演会も行われるようですが、こちらはすでに定員オーバーのようでした。

INAXギャラリー(東京都中央区京橋3-6-18)にて。5月23日(土)まで。
週末に展覧会なんて、仕事熱心ですねと言われそうですが、たまたまです。