特集
デザインとAIが生成する未来
技術革新という点で生成AIは2023年最大のトピックでしたが、引き続き2024年も話題を独占するでしょう。そのインパクトも影響してか、当初は「全能」か「脅威」かの二元論で語られがちでしたが、実際にツールの利用者が増え、政治、経済、文化などあらゆる領域に実装されていった結果、今や不毛で単純な議論は収束しつつあります。「AIが得意なこと」と「AIが不得意なこと」の境界も少しずつ見えてきました。
本特集では、デザインやクリエイティビティの視点からAIの現実的な可能性を探りました。言わば「AIとのフレンドリーでフラットな付き合い方」を模索しています。登場していただいた有識者はどなたもAIを徹底的に使いこなしているだけに、最新の性能とその限界を知り尽くしています。また取材先には、机上の空論は避けて地に足をつけながらAIを活用している企業やデザイナーを選びました。さらに、このAXISの誌面デザインにも生成AIが使われています。
過度な楽観や悲観は退けつつ、デザインとAIが生成する未来にささやかな希望を寄せて―そんな思いで制作した特集をぜひお楽しみください。
Vol.227 | 2023年12月28日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
018
基調対談
2024年、加速する生成AI時代の心構え 「君たちはどうデザインするか」
各方面で2023年の話題を独占した、生成AIの急速な発展ぶり。この大波は、私たちの仕事と社会をどう変えるのか? 建築からプロダクト、都市やファッションまで、コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れて設計・製作・研究をする東大生産研の特任教授で建築家の豊田啓介。かたやインタラクションデザイナーとして、いち早くその実態と可能性を探り、生成AIを実践活用してきた深津貴之。両者が分野を横断して、来るべきデザインの未来を語る。
024
プロのクリエイターや企業が愛用する Stability.AI社製生成AI
世界をリードするオープンソースの生成AI企業、Stability.AI社。プロのクリエイターや企業が愛用する同社製生成AIを紐解くため、日本版Stable Diffusionなどマルチモダルモデルの開発を率いるシーン・ 誠に話を伺いつつ、Stability.Audio技術を活用したライゾマティクスが手がける話題作「Syn:身体感覚の新たな地平」についても紹介する。
030
生成AI×ファッション×広告の 可能性を拡大させたパルコの挑戦
渋谷PARCO開業50周年となる2023年、パルコは最先端の画像生成AIを使用したキャンペーンを発表した。広告はそもそも企業の宣伝活動や販売促進のための手段だが、パルコは時代を象徴するトップクリエイターとともに、コマーシャルを超えてカルチャーを創出してきた歴史がある。新しい技術をいち早く取り入れた制作の背景と、ファッション広告における生成AIの可能性に迫った。
034
「AIネイティブ」カンパニー―チューリング
大変革の時代と言われる自動車産業において、かのテスラに負けじと国産EVの開発と量産に取り組むスタートアップがある。生成AIの流行以前よりAI開発を起点としたクルマづくりに臨むチューリング社のビジョンを聞いた。
040
私たちはどんな未来をつくりたいか? 生成AIが問う人間のクリエイティビティ
「AIは人間の仕事を奪うのか?」「AIはゼロから創造し得るのか?」。生成AIの普及に比例するように増えた議論だ。だがその論点に囚われると、人とAIをめぐる議論の本質を見失う。そう語る慶應義塾大学の栗原聡教授に、AIのクリエイティビティと倫理について聞いた。
044
生成AI研究者がつくった あえてAIに頼らないアート制作ツール 「Tomonami」
生成アート研究を行ってきたソニーCSLの研究員、アレクシー・アンドレが、九谷焼の陶芸家、吉田幸央とともに開発した「Tomonami」。画面上で器物の絵付けを素早く試行できるこのシステムは、不変にも思える伝統工芸のアウトプットを大きく塗り替えつつある。だが、あくまで生成AI技術は利用しておらず、「人間の創造を支援する仕組み」であるという。Tomonamiから見えてくる、人間と機械の協働のあるべき姿とは。
048
世界初のAIバレエ「フュージョン」 拡張知能としてAIを操るアーティスト、 ハリー・イェフ
今夏、ドイツ・ライプツィヒで世界初のAIバレエと銘打った「フュージョン」が上演された。オリジナルストーリーのバレエは、その振り付け、セットデザイン、衣装、楽曲、そして、ビートボクサーが奏でるボイスも生成AIを活用してつくられていた。クリエイティブディレクターはそのビートボクサーでもある英国のアーティスト、ハリー・イェフ。「自らのボイスを拡張してくれる」と語る彼の考える生成AIとは。
054
建築プロセスと場の可能性を再創造する。 大成建設の生成AI活用法
AIは建設・建築の現場でもすでにその力を発揮している。大手ゼネコン・大成建設は、AIを建築デザインプロセスなどに取り入れ始めているという。もともと「AI前夜」にはどのような試行錯誤があり、いかなる課題や試みが生成AIの爆発的な流行を招いたのか。さらにこの先、人のクリエイティビティはどこへ向かうのか。ふたつの活用事例を中心に詳しく取材した。
058
AI時代の建築家が捉えるバーチャル空間
生成AIを用いてアイデアを膨らませる建築家によって、バーチャル空間で生成されたものが、現実空間に産み落とされようとしている。その一方で、建築プロセスの「あまりセクシーでない部分」での生成AIの導入も進んでいる。それらの事例を踏まえつつ、ウィーンで開かれた展覧会を通じて、AI時代の建築家が捉えるバーチャル空間を考察する。
063
AIは自ら芸術を生み出すか? 「人間愛護団体」を予言するAI美芸研
ふたりの美術家が7年半前に立ち上げた人工知能美学芸術研究会が、生成AIブームが巻き起こって以来、あらためて脚光を浴びている。AIに備わる「美学」とAIが生み出す「芸術」の可能性を研究し、その成果を作品制作にも反映していく試み。活動の意図を聞いた。
004
Close-Up
ベルナール・フォコンのマネキン
069
LEADERS
ゴードン・ブルース(デザインコンサルタント)
074
Sci Tech File
光合成をする動物細胞をつくる プラニマル細胞への挑戦
080
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト:山下祐樹(Figma CPO)
086
Insight
WDO世界デザイン会議 東京2023 レポート
限界を超えた地球、目前に迫るAI 時代。今こそ人間とは何かを問い直すべき
092
Insight
竹尾ペーパーショウが示した紙の可能性
技術の結集とクリエイターの視点
098
Insight
3710Labがつなぐ海と人とデザイン
OCEAN BLINDNESS―私たちは海を知らない
104
Insight
「歩まなかった道」展
歴史を見せる新しいパースペクティブ
112
TAKT PROJECTの東北考
通り道としての身体
116
& DESIGN
テック(深津貴之)、インテリア(土田貴宏)、フード(君島佐和子)、ブック(宮後優子)
121
クリエイターズナビ
コヴァレヴァ・アレクサンドラ+佐藤敬/KASA、
ガブリエル・フォンタナ、カルロ・クロパット、河野未彩、鄭宇&詹迪
126
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128
広告目次、編集後記、次号予告
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