次世代デザイナーの群像

特集

次世代デザイナーの群像

長いパンデミックがようやく終息し、自由で制限のない活動が可能になった今、AXISは日本人デザイナーの特集を敢行します。領域や形態はさまざまですが、いずれも将来のデザイン界を担う期待の14組です。
言うまでもなくデザインという言葉の意味はますます拡張していますが、それに呼応するかたちでデザイナーの役割も刻々と変化しています。モノだけではなく付随するサービス全体を設計する、建築を取り巻く地域全体を活性化させる、さらには地球環境や社会問題にも配慮するなど、彼らに要求される仕事は一筋縄ではいきません。そんな時代背景が影響しているからなのか、次世代デザイナーたちの個性は多様で、柔軟で、そして何よりも魅力的です。
今号の特集ではデザイナーひとりひとりの創造性を通して、日本のデザインの新たな地平を浮かび上がらせていきます。

Vol.2252023年09月01日 発売
定価:1,800円
表紙:Artwork by Tomohiro Okazaki

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018

岡崎智弘
ありのままの世界を観る

第25回亀倉雄策賞を三澤 遥と同時受賞した岡崎智弘。受賞の対象となったTV番組用のコマ撮りアニメ「デザインあneoあのテーマ」について、岡崎は「この世界を自分の目で見るとき、あるいは何かを自分の手でつくろうとするときの、その手前にある気づきや心のあり様をテーマにした」と語る。つくるという行為の根源を岡崎に聞いた。

岡崎智弘<br/>ありのままの世界を観る

024

狩野佑真
価値観を反転させる発想と熱意

ネジ、錆、木屑……。あまり価値を感じないものや、ネガティブな印象があるものから、狩野佑真は意外な価値を生み出していく。エッシャーから倉俣史朗へと続くシュールな感覚への共感、天性のものに違いない眼力、そして時間や手間を惜しまず完璧を期すスタンスが、彼のクリエイションを時代に先んじたものにする。

狩野佑真<br/>価値観を反転させる発想と熱意

030

ツバメアーキテクツ
街と人と歩む建築

小田急線の地下化によって生まれた線路跡地、下北線路街の一画に、若者が暮らしながら商いをする小さな店舗兼用住宅群が出現した。設計を担当したツバメアーキテクツは、同跡地を中心に散らばる数棟の小さな建築も手がけ、そのひとつに事務所を構えて地区全体の維持、変容、発展に実践的に関わる態勢をとっている。

ツバメアーキテクツ<br/>街と人と歩む建築

036

鈴木 僚(ヤマハ)、藤田すずか(ソニー)、河本匠真(富士フイルム)、北村直美(パナソニック)

インハウスデザイナーの現在地と未来像

プロダクトやサービスをデザインするインハウスデザイナーは、企業によって働き方や職域もさまざまだ。その一方で、共通する認識や価値観も多い。彼らは今どのような視点に立って、どのような未来を想像しているのか。ヤマハ、ソニー、富士フイルム、パナソニックの4社の若手インハウスデザイナーを取材した。

インハウスデザイナーの現在地と未来像

044

2000年以降、日本人デザイナーの変遷を辿る

21世紀に入って早くも四半世紀が経とうとしている。この時代を特徴づけたのは、2011年の東日本大震災と19年から約3年半続いたコロナ禍だ。ふたつの未曾有の災害は、人々の価値観や社会のあり方を大きく変え、デザイナーの意識や活動領域にも影響を与えた。この変化は、あえて言うならデザイナーが「ハレ」の世界をつくり出すことから、「ケ」の世界に深く分け入って活動するようになったことだろう。2000年以降の日本のデザイナーの変遷を概観する。

2000年以降、日本人デザイナーの変遷を辿る

050

亀井 潤
未来の発想を、現代の課題に生かす

日本の大学院で素材研究を行い、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでデザインとエンジニアリングの融合を学んだ亀井 潤。その成果を生かして起業し、現在は革新的なテキスタイルの開発に取り組んでいる。複眼的な発想でハードルを超えていく彼の活動は、既存のジャンルのあり方に風穴を開けていくに違いない。

亀井 潤<br/>未来の発想を、現代の課題に生かす

056

森 一貴
「わからなさ」を引き受ける、地域のデザイン

福井県鯖江市で活動した後、フィンランドで学び、今夏、帰国したばかりの森 一貴は、これまでの日本のデザイナーとは異なるキャリアや展望を持つ稀有な存在だ。「参加型デザイン」を学び、これから本格的に地域に深く根差していく、その考えとは。

森 一貴<br/>「わからなさ」を引き受ける、地域のデザイン

060

小野 栞
第一の皮膚を紡ぎ出す

細い繊維から何百mという糸を手作業でつくり、そこから1着の服にしていく。アーティスト、小野 栞の作品には、派手なデザインはない。装飾性を排し、素材そのままの色を用いるが、何にも似ていない存在感があり、雄弁でもある。膨大な時間を素材と工程に投じて得たストーリーがそこにある。

小野 栞<br/>第一の皮膚を紡ぎ出す

064

ヨフ
「色」と「視覚」に憑かれた3人組

人は2次元と3次元の両義的な空間性を知覚できるのか。色の研究を起点に、絵画や映像など、それぞれの興味やスキルをレイヤーのように重ねながら変化し続けている3人は、自らの作品を媒介に、新たな視覚表現の可能性を模索しようとしている。

ヨフ<br/>「色」と「視覚」に憑かれた3人組

068

21B STUDIO
チームで拓くプロダクトの未来

21B STUDIO は、いわゆるデザイン組織とは一線を画す。それぞれが主となる仕事を続けながら、プロダクトデザインを深掘りするために新たに結成したチームであり、そこにリーダーはいない。膨大な議論を重ねてチームで意志決定し、100の仕事を3人で分割するのではなく、それぞれが100こなして300の質量になるようなプロセスを選ぶ。それにより、これからのものづくりのあり方や本質を見ようとしている。

21B STUDIO<br/>チームで拓くプロダクトの未来

072

[ 特別対談 ] 三澤 遥(デザイナー)× 大西麻貴(建築家)

感覚を触発し、生き物のような愛らしさを内包する

各方面から注目され、これから次のステージに活躍の場を広げようとしているデザイナーの三澤 遥と建築家の大西麻貴。今回、初対面となる同世代のふたりが互いの印象をはじめ、仕事に対する考え方、取り組んでいること、挑戦してみたいことを語り合うなかに、クリエイションの世界の「今」という時代が見えてくる。

感覚を触発し、生き物のような愛らしさを内包する

004

Close-Up

COMME des Garçons 1989.4.28-2023.2.1

081

LEADERS

東 浩紀(批評家・作家・ゲンロン創業者)

086

Sci Tech File

海藻はどう生まれ、どう育つ 知られざる多様な生殖と発生

092

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト:秋吉浩気(ヴィルド代表取締役CEO)

098

Insight

メタバースに新たな都市をつくり出す、ザハ・ハディド・アーキテクツの野望

104

Insight

人々の慣習を変えるアート トマス・サラセーノ

112

TAKT PROJECTの東北考

見えない境界線

116

& DESIGN

ブック(宮後優子)、インテリア(土田貴宏)、フード(君島佐和子)

121

クリエイターズナビ

中村拓志、近藤亜樹、ガブリエル・タン、ダニ・ルビオ・アラウナ、織田浩彰

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