特集
社会とつながるデザイン教育
中学を卒業したばかりの若者対象に、モノをつくる力を有して自らコトを起こす起業家の育成を目指す新設の高専。地域が抱える課題の解決に向け、コンサルティング会社とともにデザインの力を生かしてコレクティブワークに乗り出す美術大学。自然豊かな環境で座学と実践を通じ、新たな発想や概念を考える分校施設など、デザインに触れ、学ぶ機会の選択肢が増えています。背景には、社会が求めるデザイン人材の変化があります。幅広い領域のデザインの意義と役割について提言を取りまとめる経済産業省主導の研究会でも議論となっているデザイン教育は、従来の産業振興や企業の競争力強化から、文化的価値や社会的価値の創造に資する取り組みへと転換が急がれています。今号の特集は、社会や産業の変化を幅広く視野に入れ、デザインの学びや理解を広く世の中に還元していくーそんな、社会とのつながりに重きを置きはじめた日本のデザイン教育の新たな動きに迫ります。
Vol.222 | 2023年02月28日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
018
神山まるごと高専 デザインから起業までをまるごと学び、 日本の社会を変える
徳島県の山間部にありながら、地方創生の先進地として注目を集める神山町。2004年に光ファイバー網が敷かれて以来、IT企業のサテライトオフィス誘致などにより外部からクリエイティブ人材が呼び込まれ、ビジネスの創造拠点へと変革が進む。そこに今年4月、神山まるごと高専が開校する。卒業生の4割を起業家に育てることをミッションに、学生は15歳から20歳までの5年間、全寮制で「デザイン×テクノロジー×起業家精神」を凝縮して学ぶ。そこではいかなる教育がなされるのか。なぜ高専という仕組みが有効なのか。校長から新入生まで関係者に話を聞いた。
028
しまんと分校 四万十の人々の日々の営みに学び、空想する力を養う
「一次産業×デザイン」というスタンスで、土地の力を引き出すデザインを世に送り出してきたデザイナーの梅原 真。そんな彼が、10年前から構想する学び舎が、今秋、高知県の四万十町に開校する。農業研修と山村の暮らしを組み合わせた体験重視のカリキュラムを通して、「空想する力」を養う場になる。
034
三条市立大学 大学が地域の中小企業の 「 R&D」部門になる
新潟県三条市に2021年4月に開学したばかりの三条市立大学は、「創造性豊かなテクノロジストの育成」を掲げ、工学と技術マネジメントを融合した新しいスタイルの工学部を置く。地域の高度なものづくりを支える大学として、アハメド・シャハリアル学長は「従来の大学の役割を超えた存在」を目指しているという。燕三条の町とともに取材した。
038
デザインの価値を見直し、社会に広げるのが、これからの美大教育
社会の複雑化にともなって、デザイン領域が広がりつつある今、美術大学は何を教え、学生は何を目指すべきか? 元文化庁長官で多摩美術大学理事長の青柳正規と、多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム(TCL)で特任准教授としてデザイン教育を実践するなど、教育に深い関心を持つKESIKIの石川俊祐が、構想中の、次なる美大教育について語った。
044
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン 英国式ボーディングスクールが取り組む クリエイティブ&リーダーシップ教育
2022年8月、英国の伝統あるパブリックスクール「ハロウスクール」の日本初となる姉妹校が、岩手県・安比高原に開校した。全寮制インターナショナルスクールで展開される全人教育。スキルセットとマインドセットを育むさまざまなプログラムのなかで、デザイン&テクノロジーの分野は特に重要なものだという。
050
武蔵野美術大学 社会を造形するデザイン教育 コンヴィヴィが目指す 地域のかたち
武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所は昨年11月、シンクタンクの日本総合研究所(日本総研)と共同で、新たな研究拠点を設置した。「自律協生スタジオ(コンヴィヴィアル・デザイン・スタジオ)」と名づけられた産学連携の研究拠点では、同大の学生たちがコンヴィヴィアル—自律協生的な社会の創出に向けた研究と実装の動きを具体化させているという。取り組みを進める同大教授の若杉浩一と日本総研の井上岳一に話を聞いた。
054
ライブデザインスクール 各地に根を張り、生きるデザインを学ぶ場
ライブデザインスクールは、一冊の本から飛び出した学校である。オンラインレクチャー、デザインブレスト、実地のフィールドワーク、インターンというプログラムから成り、これからの地域とデザインをみんなでともに学び合う。運営に携わるのは、編集者の中井希衣子、「インタウンデザイナー」の新山直広と坂本大祐ら。地域の課題解決にとどまらず、デザインを通して人の心を動かす、創造の連鎖を目指したスクールが開校する。
058
佐藤 卓(グラフィックデザイナー)と伊藤直樹(クリエイティブディレクター)が語る、これからのデザイン教育
社会の10年先、20年先を見据えれば、将来を担う若い世代のデザイン教育が鍵を握ると思われる。NHK Eテレ「デザインあ」などの番組制作を通して子どもたちに向けデザインへの好奇心を喚起してきた佐藤 卓と、美術大学で教鞭をとる傍ら、今春開校する神山まるごと高専のカリキュラムディレクターに就いた伊藤直樹のふたりが、専門領域をまたぐこれからのデザイン教育のあり方について語り合った。
006
Close-Up
ISSEY MIYAKE GINZA / 442
070
Sci Tech File
超遺伝子から解き明かす毒蝶に擬態するアゲハの謎
081
LEADERS
吉田真一郎(自然布研究家、美術家)
086
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト:武井祥平(nomena創設者、エンジニア)
092
Insight
マルコ・ザニーニが考案する
河川を活かした非対称物流ソリューション
098
Insight
NRF 2023「小売ビッグ・ショー」
世界最大級リテールテックの祭典から読み解く小売の未来
104
Insight
量子芸術祭は、アートとサイエンスの新たな出会いの始まり
112
TAKT PROJECTの東北考
知覚の土着性
116
& DESIGN
インテリア(土田貴宏)、ビジネス(長谷川敦士)、フード(君島佐和子)、アート(太田睦子)
121
クリエイターズナビ
アンナ・クルヘルスカ、菅藤晶広、瀬戸 優、SUKOTA、ツァイ&ヨシオカ
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