特集
UP NEXT
メディアの役割のひとつに、新しい才能を発掘し、育成・支援していくことが挙げられる。活力ある豊かで多様な未来を創造するエネルギー、若く新しい才能を後押しすることは、多様性と革新性のあるデザイン文化を育んでいくことに他ならない。歴史を振り返ると世情が不穏だったり、経済的に不遇だったりする環境下に、新しい才能が誕生することが多い。コロナが世界を覆った約3 年。発表や交流の機会が激減する一方で、高まったのは、新しい才能への渇望ではないだろうか。世界を取り巻くさまざまな課題や状況を創造の源泉に取り込み、社会に新たな可能性を提示する。しかも、それぞれに違ったスタイルで。もしそこに共通項を見出すとすれば、「若い世代らしい時代感覚を持ち、さまざまな変化に貪欲に向き合っている」ことだろう。35 歳以下で、世界を舞台に活動する海外デザイナー。12 組の活動に触れ、ぜひともデザインの新たな胎動を感じてもらいたい。
Vol.220 | 2022年11月01日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
018
ルーツを紐解く文化人類学的デザイン シモン・バレン・ボテロ
シモン・バレン・ボテロの故郷コロンビアは、ヨーロッパ系と先住民族とアフリカ系の人々が住み、なかでもメスティーソが人口の多くを占める。先住民の部族は80を超え、言語も60以上あるという多民族国家だ。その歴史や文化を掘り下げ、自国のみならずラテンアメリカのアイデンティティの構築に貢献したいと語る彼の捉える「デザイン」とは。
024
科学的な思考と詩的秩序を共存させる 新時代のミニマリスト マリオ・サイ
マリオ・サイ(蔡烈超)は中国・杭州をベースに世界的に活躍しているプロダクトデザイナー。サスティナビリティを重要なテーマとしつつ、中国デザイン業界に山積するさまざまな問題をデザインによって解決に導こうとしている。そのストイックなまでに論理的な思考が各方面から注目されている。
028
鮮やかな色彩とエンパシーで 人の心をポジティブに インカ・イロリ
ロンドンの街角にカラフルで心温まる巨大なメッセージが掲げられた。ポストコロナに覆われた人々の気持ちを癒したのは、ナイジェリアにルーツを持つ英国人デザイナー、インカ・イロリだ。彼の考えには、脱植民地化デザインを超えた先にある、多様化する社会を包み込むエンパシーが存在する。
034
ニュートラルなフォルムと多彩な色を、 自らの手で ラスムス・パルムグレン
フィンランドは世界でいちばん幸せな国に選ばれている、国土の約75%が森林である福祉国家。気候変動に対するサスティナブルな取り組みにも積極的であり、二酸化炭素排出の削減、エネルギーの節約を考え、建築でもインテリアの世界でも国産の木材を使用したプロジェクトに関心が集まる。そのフィンランド国内外で、今注目されるデザイナーのひとりがラスムス・パルムグレンだ。
038
「尊厳」から価値を引き出す活動家 ラニ・アデオイェ
「未来の自分へのデザイン」をテーマに開催された2022年のサローネサテリテ。600もの作品の頂点に輝いたのは、ラニ・アデオイェが出展した祖父のための歩行器。家族や伝統に対する想いが詰まったシンプルなフォルムが注目を集めた。尊厳から価値を引き出す彼女のデザイン哲学とは。
042
素材という「不思議」を 探り、紐解き、未来へつなぐ シャハール・リヴネ
われわれを取り巻く環境は、どこから生まれ、どこに向かっているのか。物事の根源を探り、さまざまな可能性を追求しながら、未来のストーリーを読み解く。独自のデザイン理論を打ち立てるシャハール・リヴネのエネルギーの源を聞く。
046
シビアな社会課題に着目し、 「楽しみ」とともに 思索を広げる クリーム・オン・クローム
オレンジジュースやコーヒーを人々にふるまう場の仕組みが、社会課題と密接に結びついている。ロッテルダムを拠点に活動するデュオ、クリーム・オン・クロームは、そんな体験の創造に明確なメッセージを込めて、デザインが果たすべき責任に取り組んでいく。
052
新たなビジネスを案出する 新時代のアントレプレナー ニック・ラウ
香港に生まれイギリス、アメリカで教育を受けたニック・ラウ。彼は国境をまたぎ、またリアル商品とメタバース体験の垣根も超えて新しいビジネスを立ち上げ急成長させる。そんなラウが今関心を持っているのは、ファッション、ビジネス、アート、ホスピタリティなど、多くのものが混じり合う空間づくりだ。
056
エンパシー力を重視し、 多様な領域で デザインを熟考する チュウカイ・リー
若いクリエイターのための国際的なコンペティション「ヤングワンス 2022」の審査員を務めるチュウカイ・リー(李中凱)は、独自のスタイルをもつデザイナーとして中国でも存在感を放っている。デザインに限らず、アートや教育など幅広い分野で活躍し、それらはすべて“ エンパシー力” を養うためだと語る、その思考はどのような過程で生まれたのだろうか?
060
歴史に埋もれた アーカイブから 未来の街を創造する
2021年、ロンドンの建築プロジェクト「サーペンタイン・パビリオン」がいつもの会場である公園を飛び出し、市内各所に「フラグメント(断片)」として出現した。より多くの人の記憶に残る作品を手がけたのは、ヨハネスブルグに拠点を置くカウンタースペース。創設者のスマイヤ・ヴァリーは世界中から熱い視線が注がれる若干32歳の建築家だ。
064
変容し転換する建築を 実験する設計事務所
建築の新しい潮流が中南米の国、パラグアイの波に合流したかのように見える。日本の現代建築にも深く影響を受けたと語るエキーポ・デ・アーキテクトゥーラの建築は、世界中のコンテンポラリーな建築表現の種と自分たちの土地の素材を使って、パラグアイの地に独自の新しい根を張り始めた。
068
物語を都市の構想へと つなげ、ドローイングで 建築のおとぎ話を語る
アーティストと建築家というふたつのアイデンティティを保っているフレイヤ・ホウは、物語の中の建築や都市像を想像し、ドローイングに落とし込んでいる。このようなアプローチで、建築空間づくりの新しい可能性を示唆している。
094
Insight
神奈川県立図書館本館の家具をデザインするということ
100
Insight
北欧に根づくスタートアップエコシステム
「バーベキュー」から生まれる新興企業たち
106
Insight
もしも、富士通と富士フイルムのデザインセンター長が入れ替わったら?
006
Close-Up
トリプル・フォリー
077
LEADERS
マウロ・ポルチーニ
(ペプシコ シニアバイスプレジデント、チーフデザインオフィサー)
082
Sci Tech File
微生物が教えてくれる地球のための発酵テクノロジー
088
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト:宮坂 学(東京都副知事)
112
TAKT PROJECTの東北考
「心象」をスケッチする
116
& DESIGN
インテリア(土田貴宏)、フード(君島佐和子)、ビジネス(長谷川敦士)、アート(太田睦子)
121
クリエイターズナビ
横川知宏、ブリック、太田 翔、大地千登勢、ボールド建築スタジオ
クリエイターズナビ
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