そらへ。

特集

そらへ。

私たちの頭上や目前に広がる空という広大な空間。世界や宇宙ともつながるこの領域の活用が、テクノロジーの進歩とともに新たな時代を迎えようとしている。
空飛ぶクルマや広大な空中庭園を備えたメガストラクチャーなど、SF世界のものと思われてきたアイデアが技術革新にともない次々に登場。画像認識や人工知能を組み合わせたドローンの利用は、さまざまな産業で新たなイノベーションの牽引役として期待が寄せられている。思えば、人類の空への欲望や探究心は多様なデザインを生み、暮らしや社会のありさまを変えてきた。飛行機の発明は人やモノの移動にダイナミズムを与え、グローバル化を加速させた。今日では個人が鳥のような感覚で空中浮遊を楽しめる新たなヴィークルも登場している。
多彩な知識とアイデアが交換される空は今、私たちをどのような未来に誘おうとしているのか。夢でも、想像でもない、人類が舞う時代の新たなデザインを紹介する。

Vol.1872017年05月01日 発売
定価:1,800円
表紙:表紙写真 泊 昭雄

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020

巻頭対談 八谷和彦× 稲川貴大

空への眼差し、地上への眼差し

メディアアーティストの八谷和彦が取り組むのは、足掛け14年の飛行機の制作プロジェクト。それはアニメ作品の1シーンから着想を得たものだ。単なる空想ではなく、エンジニアリングによって自由に空を飛ぶ夢を実現した八谷と、ものづくりへの憧れから空へ、宇宙へと歩みを進める国産ロケット開発の若きリーダー、稲川貴大。ふたりが空に向ける想いを語り合う。

空への眼差し、地上への眼差し

026

そらから考える未来のデザイン

空へ向かってデザインを行う試みは、2000年以上前のローマ時代から続いている。地面を歩くことしかできない人間が、建物を複層にすることによって高みへ上昇できるようになったように、人の欲望や冒険心、技術の進歩が、そうした試みを今日に至るまで絶え間なく前進させてきた。今、空はデザインにとってどんな対象なのか。実現されようとしている計画と、未来の想像をあわせて伝えよう。

そらから考える未来のデザイン

031

未来の空をデザインするイスラエルのスタートアップたち

“空飛ぶクルマ”と言えば、筆者が子どもの頃は22世紀ぐらいの話と思っていた。しかしどうやら、私たちが生きている間に、そうした世界が近づきつつあるようだ。ここでは、空の領域で世界のイノベーションの先頭を目指すイスラエルに開発拠点を構えるスタートアップを紹介する。

未来の空をデザインするイスラエルのスタートアップたち

034

空飛ぶクルマ―走行と飛行の両立を目指して

空も飛べる自動車。それはT型フォードでクルマの大衆化革命に火をつけた、ヘンリー・フォードも夢見た移動手段だ。フォード自身はつくり上げることができなかったが、没後70年を経てフライングカーの実用化は今まさに目前に迫りつつある。その開発最前線を探る。

空飛ぶクルマ―走行と飛行の両立を目指して

039

空飛ぶドルフィンテイルドローンそのポテンシャルとは?

2015年8月、ソニーとZMPのジョイントベンチャーとして、新たなスタートをきったエアロセンス。かつては家庭用ロボットを手がけていた両者が新たな活路を見出したのは、180度方向転換を図った産業用途向けドローンだった。いまだ開発途上のこの分野。最前線でその発展性を模索するCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)の佐部浩太郎に聞いた。

空飛ぶドルフィンテイルドローンそのポテンシャルとは?

042

若手エンジニアたちが描く、日本発、2050年の空のモビリティ

クルマはこの先どうなるか。エンジニアやデザイナーといった有志の集まりが追求するのは、電気や水素といった動力源の置換にとどまるカーメーカーの未来予想を超えて、地上を離れたクルマの姿だ。若きエンジニアの夢を形にする舞台が、今、空に広がっている。

若手エンジニアたちが描く、日本発、2050年の空のモビリティ

045

人間と機械の共棲を探る

人間とインタラクションしながら、ドローンが自由に行き交い飛び回るオフィスがまもなく普通になる。センサーや人工知能を搭載したドローンが、人間社会へ自然に溶け込んでいけば、ペットのような親近感を感じる存在になるのかもしれない。その時代に必要なのは、新しい倫理性だと本郷飛行機の金田賢哉は語る。

人間と機械の共棲を探る

048

デザイナーが切り拓いた空への入り口―パナソニック「バルーンカム」

バルーンと組み合わせることで浮力を手にした、新しい形のドローン。約1時間の航続時間を実現したうえ、プロペラ部分を覆ったことで人に近い場所で使えるというメリットもある。さらに、内蔵したプロジェクターやLEDライトで、自らがスクリーンになるというこれまでにない使い方も。発案からビジネス化を模索する今も、プロジェクトを率いたのは、ひとりのプロダクトデザイナーだった。

デザイナーが切り拓いた空への入り口―パナソニック「バルーンカム」

050

高度1,000mで “ 植物質” な空中都市を育てる

清水建設が構想する未来都市「グリーン・フロート」は、赤道直下の太平洋上に海上浮体都市をつくろうという壮大なプロジェクト。なかでも逆円錐型形状で空に向って広がる空中都市には快適に暮らすためのアイデアが盛り込まれている。高度1,000mの空の暮らしとは?

高度1,000mで “ 植物質” な空中都市を育てる

052

中国建築界の雄、馬岩松が目指す「天空」の革新

ジョージ・ルーカス発案のナラティブ・アートュージアムなど世界各地で巨大文化施設や高層タワーを設計してきたMADアーキテクツ。ファウンダーであり、各プロジェクトにおいて主にコンセプトワークを担う馬岩松は、今最も注目を集める建築家のひとりだ。東洋の伝統に基づく独自の建築理念の提唱者でもある馬は、中国の「天空」の歴史をどう読み解き、空に広がる未来の建築をどう予想するのか。北京で話を聞いた。

中国建築界の雄、馬岩松が目指す「天空」の革新

056

鳥人感覚を極めたVRライド「バードリー」

博物館やアミューズメント施設に導入されはじめたスイス発の「バードリー」は、単なるアトラクションとは言えない飛行感覚を実現している。VR技術を応用したフルボディの没入感とはどういうものなのか、実際に体験してみた。

鳥人感覚を極めたVRライド「バードリー」

058

人が飛ぶという空想を現実に―身体能力を拡張するフライングツール

ドローンのような自律飛行技術は、人間の夢にも応用できる。フランスのフランキー・ザパタは、ドローンに統合されている技術を人間が飛ぶために応用した。これは、高く速く飛ぶための第一歩と言える。

人が飛ぶという空想を現実に―身体能力を拡張するフライングツール

061

人類のラストフロンティア― その先の未来予想図とは?

はるか上空で雲海とともに空中庭園を眺めながら暮らす。眼下には空飛ぶヴィークルが行き交い、ドローンが整然と列を成しハイウェイを流れる。ドローン開発のトップランナー野波健蔵博士は、そんな近未来がすぐそこまで近づきつつあると予測する。地上150m、見上げれば手が届く広大なキャンパスには、どのような未来が描かれていくのだろう。

人類のラストフロンティア― その先の未来予想図とは?

007

Close-Up

永井敬二コレクション

067

LEADERS

増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長 兼 CEO)

072

Sci Tech File

DNAオリガミが切り拓く分子ロボティクスの可能性

078

INSIGHT

オラファー・エリアソンの「リトルサン」

084

INSIGHT

東京とロンドンを結ぶデザインラボ、始動

090

INSIGHT

SXSWでソニーが見せたリアルな未来

096

INSIGHT

杉本博司(新素材研究所)によるMOA 美術館リニューアルプロジェクト

106

クリエイターズナビ 

堀田卓哉、カヤ・ダール、吉本英樹、小島利之、千葉隆博、ネリー・ベン・ヘイオン、石塚尚之

112

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト>袴田武史(ispaceファウンダー&代表取締役CEO、HAKUTO代表)

118

& DESIGN

菅野 薫(テクノロジー)、土田貴宏(インテリア)、太田睦子(アート)、君島佐和子(フード)

122

書評― 創造へのつながり

青木俊介、森岡督行、マイク・エーブルソン

125

寺尾 玄 Pop Gap Creative

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