特集
これからの認証&セキュリティ。
認証を求められる機会が増えている。スマホやパソコンの起動、電子決済、入退室、DNA鑑定……。
狭い共同体やその周辺のみで社会生活が成り立っていた時代には、本人確認の手段はそれほど意識されることはなかった。しかし、ネットを介したやり取りが日常茶飯事な現代社会では、個人を特定するあらゆる場面でパスワードや生体認証が求められ、そこで得られた属性情報を社会基盤として活用する動きも広がっている。
一方で、安易な認証設定や脆弱なセキュリティシステムによって情報漏えいやアカウントの乗っ取りといった新たな脅威も浮上。安全かつセキュアな認証システムをどう構築するかは大きな課題と言えるだろう。
増え続ける認証機会や方法に対し、デザインはどのような役割を果たすことができるのか。今号では、認証技術やセキュリティにまつわる最新の取り組みやクリエイターの提言から、個と社会をつなぐ新たな関係性を考えてみたい。
Vol.192 | 2018年03月01日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
表紙: | 表紙イラストレーション 鈴木康広 |
014
認証とセキュリティから考える「自分らしさ」への新たな自覚― 暦本純一×深津貴之
パスワードから生体認証へ。インターネットの浸透のみならず、デバイスの進化により認証のあり方は大きく変容した。認証のあり方が変われば、社会のシステムもアップデートされてゆく。その進化によって、私たちはどれだけ恩恵を受けているのか。それとも画一的に管理されはじめただけなのか。「ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)」という新概念を提唱する東京大学大学院情報学環教授、暦本純一とユーザーエクスペリエンスの追求から「デザインによる問題点の解決」を試みるインタラクションデザイナー、深津貴之が、セキュリティの進化がもたらす未来の個と社会のあり方を探る。
020
人間にとっての自然な振る舞いを目指して―富士通 手のひら静脈認証「PalmSecure」の歩み
さまざまな方式がしのぎを削る、生体(バイオメトリクス)認証のユースケース。センサーの読み取り精度が格段に向上し、今後の課題は「いかに自然な認証が行えるか」をデザインの知見で解決することに移りつつある。富士通の実証実験で見えてきた可能性と新たな課題とは。
024
目的と技術の組み合わせの最適解を探る―NEC 耳認証「ヒアラブル」、物体指紋認証「mIDoT」
これまで40年にわたり生体認証の研究開発を進めてきたNEC。顔認証技術のパイオニアとしても知られており、世界40カ国以上の出入国管理システムへの導入実績を誇る。国家セキュリティをはじめ幅広い分野の認証技術開発に取り組んできた同社が、現在、IoT社会を見据えて実用化を目指すのが耳認証という独自の技術を盛り込んだヒアラブルデバイスだ。インク模様による認証技術と併せ、同社の最新の取り組みを取材した。
028
すぐそこにある「認証社会」 | パナソニック、日立製作所、三菱電機
瞬時かつ正確な認証技術を取り入れることで、日々の暮らしや行動に小さな変化が表れはじめている。羽田空港国際線ターミナルに導入されたパナソニックの顔認証ゲートによって、入国手続が容易に。大型施設などでの活用が想定される日立製作所の指静脈認証技術や、三菱電機デザイン研究所が提案する未来の駅の改札は、認証技術を介して新たな場のあり方にも踏み込む。生活者の暮らしに寄り添った、これからの認証社会の姿に迫る。
032
クリエイターの考えるセキュリティ [ Part 01:鈴木康広 ]
技術主導になりがちな認証やセキュリティに対してアーティストやデザイナーはどう向き合い、どう考えているのか。ふたりの提案を紹介する。
034
透明性と信頼性を兼ね備えた新たな仕組みをプロトタイピングする、IDEO Colabという実験場
デザインコンサルティング会社のIDEOでは今、新しいセキュリティ技術として注目を集めるブロックチェーンに関わるプロタイプづくりを進めている。メンバー企業も加わり、新技術の研究を加速させることに重点を置いた協働ネットワーク 「CoLab」での実験だ。未来の認証やセキュリティはどんなかたちをとるのか? そこでのデザイナーの役割は何か。CoLabのメンバーに話を聞いた。
038
認証やセキュリティが問いかけるセキュアなプロダクト& サービス
すべてのものがインターネットにつながる社会において、新たな脅威となりつつあるのが情報漏えいや改ざん、ハッキング、なりすましといった問題だ。大切な情報をいかに守り、安全な運用につなげていくか。セキュリティ性能の高さを機能としてうたう最新のプロダクトやサービスを紹介。
044
セキュリティの脅威に対し、デザインができることとは?― EMCジャパン・水村明博
セキュリティ技術は日進月歩の世界だが、脅威も同様に進化し続けている。そうしたなかで、現在はどんなことに注目が集まっているのだろうか。そして、そこでのデザイナーの役割とは何か。セキュリティを専門にするEMCジャパンRSA事業本部マーケティング部の水村明博部長に聞いた。
046
現代の不安定な空間におけるセキュリティ― 建築家、マリーナ・オテロ・ヴェルジェの考察
ダッチデザインウィーク2017のシンポジウム「グッド・デザイン・フォー・ア・バッド・ワールド」でテロリズムのセッションに登壇したスペイン人建築家、マリーナ・オテロ・ヴェルジェ。彼女はオランダ防衛省主催のカンフェレンスでも、壇上のベテラン建築家MVRDVのヴィニー・マースを圧倒するような見識を示した。彼女のセキュリティへの考察は、単体の建物のみならず、都市や国といった大きな空間に注がれている。
050
クリエイターの考えるセキュリティ [ Part 02:ジョナサン・ランキン ]
技術主導になりがちな認証やセキュリティに対してアーティストやデザイナーはどう向き合い、どう考えているのか。ふたりの提案を紹介する。
052
コードによるガバナンスが行きわたるセキュアな社会―落合陽一
テクノロジーの進化がもたらす近未来の社会に向けた独自の概念「デジタルネイチャー(計算機自然)」のもと、人間とコンピュータの親和性を図る研究者にしてメディアアーティスト・落合陽一。新たなデバイスの開発やプログラミング技術など機械言語を巧みに操るのみならず、超高速回転で、破たんなく文章化された言葉を次から次へと紡いでみせる“現代の魔法使い”は、「セキュアな社会」の未来像をどう描くのか。生体認証からブロックチェーンまで、彼ならではの視点から、認証とセキュリティをめぐるキーワードをひも解く。
005
高宮慎一 ベンチャーキャピタル流デザイン講
074
LEADERS
細尾真孝(細尾 常務取締役)
066
Sci Tech File
ゲノム編集が私たちの社会にもたらすもの
074
INSIGHT
環境問題にアート&サイエンスを!― 変化するオーストラリアの自然に耳を澄ませる。
080
INSIGHT
自転車シェアリングサービスの先に広がる風景―モバイクが見据える世界展開
086
INSIGHT
ハイファッションを支えるインドの手仕事
092
INSIGHT
これまでにない表現を追求した、新しい音のかたち―ローランド・ラム×川田 学
098
INSIGHT
モビリティサービスのプラットフォーマーへ―トヨタ「e-Palette Concept」
107
クリエイターズナビ
フランク・コークマン、カレン・カニングハム、佐々木史恵、木田勝久、クレア・オーウェン、狩野佑真、大丸隆平
112
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト: 西川 徹(プリファード・ネットワークス 代表取締役 最高経営責任者)
118
& DESIGN
太田睦子(アート)、君島佐和子(フード)、菅野 薫(テクノロジー)、土田貴宏(インテリア)
122
書評― 創造へのつながり
佐々木 聖、各務 亮、西山恵太
124
寺尾 玄 Pop Gap Creative
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