特集
変わる、ニッポンのインハウス
家電から自動車まで、日本のものづくりにおいてそのデザインを主導してきたのは「インハウス」と呼ばれる企業内クリエイティブ集団です。プロダクトやサービスのデザインはもちろん、ブランディングやコミュニケーションにまで広がる活動は、ブランド価値の向上や新たな事業創出の中核的存在として、その役割に対する期待が高まっています。
経営から遠いところに置かれ、組織における地位の低さや社内外との連携の乏しさを指摘された時代は今や昔。来たるべき未来をいち早く察知し、それを具現化して社会に実装していく。さらに、事業やブランド戦略構築の最上流から積極的に関与するなど、「インハウス」という言葉を超えた広がりを見せるデザイン組織の今とこれからを探っていきます。
Vol.197 | 2018年12月29日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
表紙: | 特集題字 宮村 弦 |
016
変わる、インハウスデザインの潮流
2018年10月、パナソニックが開催したクロスバリューイノベーションフォーラムの一環として、トークイベント「インハウスデザインサミット:デザインの未来の役割」が開催された。各分野を代表する国際的な日本企業のデザイン部門は今、どんな課題を感じているのだろうか。
020
パナソニックの歴史に学ぶインハウスデザインの役割
戦後、またたくまに復興をなしとげた日本。製造業の躍進とともに大きな役割を担っていたのがインダストリアルデザインだ。松下電器産業(現・パナソニック)は、他の企業に先駆けてデザインの重要性を認識し、戦後、日本初となるインハウスデザイン組織・製品意匠課を設置した。“松下デザイン”OBである巽 正和氏の証言を交えながら、その先進性を辿る。
022
日立製作所
ビジョンを考える力で変わる
「つれてって、たべる。わたしの野菜」「ひとくち郵便局―みんなの『あーん』とどけます」。これらは2018年11月に日立製作所が実施したプロジェクトの名前だ。「モノからコトへ」とはよく言われる言葉だが、はたしてそこでデザインは?不確定、不透明の時代に新しい価値を探し求める日立製作所社会イノベーション協創センタ。デザイナーの仕事は未だ存在しないものへのデザインへと姿を変えつつある。
028
日産自動車
バブルのような自律的な組織で変わる
2018年秋、日産の元カリスマ経営責任者の失墜は、日本のみならず世界に大きな衝撃を与えた。その最中にあって、アルフォンソ・アルバイサ率いるデザイン部門は、彼が前任の中村史郎からバトンを引き継いだ17年4月以降、大胆な組織改革を進めている。
032
キヤノン
受け継ぎながら刷新して変わる
キヤノンと聞いてカメラだけを思い浮かべる人は今や少数派だろう。コピー機やプロジェクターだけでなく、大型印刷機から医療機器まで、手がける領域はどんどんスケールアップしている。しかし、スケールは大きくなっても、すべてヒトの眼、手に関わるものだということは共通している。
036
シャープ
技術への目の付けどころで変わる
2016年8月、台湾・鴻海ホンハイ精密工業に傘下入りしたシャープの業績がV字回復を見せている。“攻め”の新規事業を立ち上げていく際、デザイン部門が果たせる役割とは。社内ベンチャーから始まったユニークなプロジェクトを通して変化の予兆に迫る。
038
東芝
発想と実装の同時並行で変わる
かつてレイモンド・ローウィはデザインが必要とされる領域を「口紅から機関車まで」と表現したが、今、東芝は「パーソナルファブリケーションからデジタルインフラまで」を実現している。先進的な動きに関わるのは若手デザイナーたちだ。
042
セイコーウオッチ
“ ゆるさ” を打ち出したコンテンツで変わる
セイコーウオッチ デザイン統括部がプロデュースするウェブサイト「by Seiko watch design」。時計が時を刻むように、着実なペースでコンテンツを更新し、公開から約1年半が経過した。特徴は語り口や見せ方の“ゆるさ”。デザイン部門が発信するオウンドメディアとして独自のコミュニケーションを展開する狙いとは? デザイン統括部長の種村清美とアートディレクションを手がけるサン・アドの小島潤一に聞いた。
044
リクシル
事業部を横断するDesign Styleで変わる
リクシルにはデザインセンターがふたつある。住宅系のリクシルハウジングテクノロジー(以下LHT)と水周りを扱うリクシルウォーターテクノロジー(以下LWT)である。数社が統合されたデザインセンターでは今、どのような活動が行われているのか? デザイン部門トップに就任したポール・フラワーズのコメントとともに、その動向を追った。
046
三菱電機
主語を「社会」にして変わる
開発本部内にデザイン研究所を持つという業界でも珍しい組織構造を擁し、2017年、さらにそのなかにソリューションデザイン部を立ち上げた三菱電機。家電からFA産業機器、社会インフラシステムまで広範囲な事業を手がける同社の最近の動きを追った。
049
座談会
Youはどうしてニッポンのインハウスデザイナーに?
日本で働く外国人インハウスデザイナーの目に、国内メーカーのデザイン組織はどう見えているのか?日本人ではわからないその特徴を、各メーカーの外国人デザイナーたちに語ってもらった。すると、これからのニッポンのインハウスデザインが採るべき道が見えてきた。
054
富士通デザイン
デザイナーのリポジショニングで変わる
富士通グループのインハウスとして、また顧客企業のパートナーとして、サービスデザインやストラテジーデザインを提供している富士通デザイン。同社が2018年にオープンしたデザインスタジオと、デジタル化が進展した未来を描くデザインコンセプトから、異なる業界を横串で通し、組織の外と内をつないでいくこれからのデザイナーの価値を考えた。
058
ソニー
デザイナーがデザインにとらわれないことで変わる
デザイン本来の役割に立ち返り、変わるソニーのクリエイティブセンター。「音楽という文化をどれだけ拡張できるか」「意思決定をデザイン視点からサポートする」「楽しいという感覚を忘れないでいたい」。所属する3人のデザイナーは、目的としてではなく、手段としてのデザインを語った。
062
ヤマハ
PLAYの精神で変わる
ヤマハデザイン研究所所長の川田 学は、かつて経営陣からこんなことを言われた。「デザインは大切な経営資源。普通の資源は使えば使うほど減っていくが、デザインという資源は、使わないとどんどん減っていく」と。ヤマハはデザインをどう活用しているのか。個々のプロダクトから組織づくりに至るまで、研究所のメンバーに話を聞いた。
066
富士フイルム
属人化も強み、個性豊かなリーダーで変わる
2017年5月、本社ビル内にあった富士フイルムデザインセンターが、外部に移転した。「CLAYスタジオ」と名付けられたこの場には、他部署の人はもちろん、さまざまな分野のクリエイターやデザイナー志望の学生までが日々訪れている。同スタジオを立ち上げたデザインセンター長の堀切和久は、18年に執行役員にも名を連ねた。
007
高宮慎一 ベンチャーキャピタル流デザイン講
073
LEADERS
岩佐十良(クリエイティブディレクター、自遊人 代表取締役)
078
Sci Tech File
脳の成り立ちから探る自閉症と個性と多様性
086
INSIGHT
特別対談 ジョナサン・アイブ×深澤直人 世界を変えた工業デザイン
096
INSIGHT
妹島和世×石井 裕 自由な活動が重なりあう、うねる学修空間
102
INSIGHT
ロングライフデザイン、中国へ
108
INSIGHT
スワロフスキーから広がる「ものづくりの環」
114
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト:ティム・ブラウン(IDEO CEO/代表取締役)
121
クリエイターズナビ
ミケーレ・デ・ルッキ、大城健作、林 アメリー、柴田あゆみ、元木大輔
126
& DESIGN
太田睦子(アート)、君島佐和子(フード)、土田貴宏(インテリア)、菅野 薫(テクノロジー)
130
Key Books Review
新連載
ゲスト:太田泰友
133
寺尾 玄 Pop Gap Creative
最終回
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