デザインミュージアムの正解。

特集

デザインミュージアムの正解。

「日本にデザインムージアムを」。デザイン関係者であれば誰もが賛同しそうな構想が、議論が始まって20年近く経った今も、この国ではいまだに実現していない。その理由は何なのか。
デザインという言葉が普及し、様々な分野でその効果が語られて久しい。しかし、国公立の専門ミュージアム一つ立ち上げることのできない現状は皮肉にも、社会に濃密な関わりを持つデザインの価値や可能性への理解が広く浸透していないことの現れのようにも見える。
デザインミュージアムの必要性は、過去のデザインを収集・保存するだけではない。あらゆる人の営みに関わるデザインという森羅万象を、次世代にしっかりと継承していく教育的意味合いも、求められる機能の一つだろう、また、国公立という形態を問わずとも、デザインの魅力や楽しさ、そして、なぜそのデザインが生まれたかというモノ・コトの背景に潜む豊かな文脈に触れる場はつくれるはずだ。デザインに引き寄せられて人が自然と集まり、それらを介して新たな行動が誘発される、そんな公園のような場があったとしたら、それを仮にデザインミュージアムと呼んでみてもいいだろう。
つくりたいという想いと、望まれるべき姿。その溝をどう埋めていくか。そして、デザインミュージアムを通じて社会とデザインをどう繋いでいくか。真に考えるべきは、そんな活動のビジョンと実行の道筋なのかもれない。遠からず日本に誕生してほしいデザインミュージアムの道しるべになれればという思いを込めて、今回の特集をお届けする。

Vol.2052020年05月01日 発売
定価:1,800円
表紙:表紙写真 田口純也

購入する

020

デザインミュージアムをめぐる20年

過去、いく度となく浮上しては消えるといったことを繰り返してきた日本におけるデザインミュージム設立構想。設立を目指して活動してきた人たちの声からは、デザインという言葉の定義や役割に対する理解不足や経済行政と文化行政の狭間で翻弄される実態などが浮かび上がる。設立の動きのこれまでと、これからを追う。

矢島進二、青柳正規、林 保太、倉森京子、洪 恒夫、土田貴宏、植木啓子、佐藤 卓、田根 剛

デザインミュージアムをめぐる20年

032

日本にデザインミュージアムは必要?
日本でデザインに携わるプロフェッショナル100人の声

日本にデザインミュージアムができるとき、デザインに携わるプロフェッショナルたちは何を望むのだろうか。「AXIS」の問いかけに応じてくれた約100名の有識者たちのミュージアム観、デザイン観を探る。

日本にデザインミュージアムは必要?<br/>日本でデザインに携わるプロフェッショナル100人の声

044

デザインミュージアムアトラス

暮沢剛巳が選ぶ世界のデザインミュージアム

美術評論家にして美術館研究者である暮沢剛巳が、自身の美術館紀行をもとに選出した世界のデザインミュージアム。選出のポイントは、「自らデザインミュージアムを名乗っている」「活動の範囲がデザインの各領域にまたがっている」「多くの作品を収集、展示している」の3点。デザインへの特化が顕著なもの、その特色が強いものから順に掲載する。

暮沢剛巳が選ぶ世界のデザインミュージアム

048

ヴィクトリア&アルバート博物館

リーフレットから実際の団地まで

英国の国立博物館や美術館の素晴らしいところは、一部の企画展を除き、入館無料であることだ。つまり、希少価値のあるパーマネントコレクションが見たい放題。このようなはからいは、世界にあまり例がない。ヴィクトリア&アルバート博物館(以下、V&A)は、1852年に産業博物館として開館以来、約230万点もの膨大なコレクションを保有。世界各国の歴史的な調度品が広い館内に溢れるなか、2013年よりラビッド・リスパンス・コレクティングという新たな収集方法が、導入された。

リーフレットから実際の団地まで

051

デザインミュージアム・ロンドン

デザインのインパクトを万人に与えたい

1989年テレンス・コンランによって設立された私設ミュージアムは、長い間、テムズ川南岸に居を構えていたが、2016年にケンジントン地区に移転した。ディレクターもディヤン・スジックが退任し、今年からティム・マーローに交代。昨年のスタンリー・キューブリック展や火星展は連日、予約券や当日券が完売するほど好評を博した。

デザインのインパクトを万人に与えたい

054

ヴィトラデザインミュージアム

真の議論を引き出すための教育・普及プログラム

世界各地を巡回する企画展で人気を博すヴィトラデザインミュージアムは、近年、教育や普及のためのプログラムにも力を注いでいる。その狙いを館長マテオ・クリースの言葉から探る。

真の議論を引き出すための教育・普及プログラム

056

私のデザインミュゼオロジー

世界有数の産業立国でありながら、「デザインミュージアム」が存在しない国。日本でのその必要性はかねてから話題になっていた。しかし、では、そもそもミュージアムとはどんな場所なのか? ミュージアムの存在価値とは? 魅力とは? そして日本が後世に残したい産業遺産とはいったいどんなものがあるのだろう。
そこに「デザインミュージアムの正解。」があるのでは、という想いから、さまざまな分野で活躍する4名に、ミュージアムについてのパーソナルな想いを語ってもらった。

ロバート・キャンベル、橋下 徹、丸山ゴンザレス、青木竜太

私のデザインミュゼオロジー

068

デザイン展はどこまで人を惹きつけることが可能か

日本の美術館はこれまでどのようにデザインや建築を取り上げてきたのだろうか。過去20年間における主要な美術館の動員数について調査をしてみた。はたして、デザインでは人は集まらないのか。美術館だからこその苦悩はあるのだろうか。

デザイン展はどこまで人を惹きつけることが可能か

072

博物館とショップを行き来する、DJ のようなキュレーターが必要
スズキユウリ× 菅 俊一

「なぜ、日本にデザインミュージアムがないのか?」「もし、日本にデザインミュージアムをつくるとしたらどんな視点が必要か?」。本特集の最後は、そんなふたつの問いかけを軸に、スズキユウリと菅 俊一が、収蔵品を備えた「デザインミュージアム」の意義や実現の難しさ、さらに、アーカイブに欠かせない、キュレーションの能力について語る。

博物館とショップを行き来する、DJ のようなキュレーターが必要<br/>スズキユウリ× 菅 俊一

008

Close-Up

弘前れんが倉庫美術館

079

LEADERS

クリストファー・ハウソローン(ロサンゼルス市 チーフデザインオフィサー)

084

Sci Tech File

不老不死のベニクラゲが教えてくれること

090

INSIGHT

レクサス・デザイン・アワードにみるメンタリングの効き目

096

INSIGHT

アートのパラドックスと社会貢献 ガーナのアーティスト、イブラヒム・マハマ

102

INSIGHT

mui Labが目指す、暮らしに余白を生み出すテクノロジー

108

田川欣哉のBTCトークジャム

ゲスト: 佐宗邦威(BIOTOPE代表、チーフストラテジックデザイナー)

114

クリエイターズナビ

コンスタンティン・グルチッチ、岡田多恵、バス・ティマー、佐野勇太、三島大世

120

& DESIGN

君島佐和子(フード)、大根田 杏(ファッション)、太田睦子(アート)、長谷川敦士(ビジネス)、土田貴宏(インテリア)

オンラインで購入する

書店で購入する

全国有名書店でお求めになれます。店頭に在庫がない場合は、お近くの書店にてお取り寄せも可能です。

定期購読について

毎号お手元に届く、便利でお得な年間購読システムです。

定期購読について

毎号お手元に届く、便利でお得な年間購読システムです。

通常10,800円(1年間/税込)のところ9,000円
過去のデジタル版閲覧が無料

定期購読を申し込む

※富士山マガジンサービスが提供するデジタル版「AXIS」のバックナンバー(176号/2015年7月1日発売号以降)から最新号までを無料でご覧いただけます。

3年間で
最大29%
お得

※富士山マガジンサービスが提供するデジタル版「AXIS」のバックナンバー(176号/2015年7月1日発売号以降)から最新号までを無料でご覧いただけます。

その他、定期購読に関するお問い合わせは「富士山マガジンサービス カスタマーサポート」まで。E-mail:cs@fujisan.co.jp

定期購読を申し込む