特集
立ち止まって、考える。
新型コロナウイルスの流行で世界は一変しました。人の行動に制限がかかり、いまだその収束が見えない不安が続く日々。日常生活のかたちが以前と異なるなか、できることは、走るばかりではなく、立ち止まって、考えることかもしれません。新しい視野に立てば、これからやるべきことについて今までとは違った選択肢、異なる答えが見えてくるでしょう。立ち止まることは、思考の停止を意味するのではなく、今の常態を新しい現実に導くきっかけをもたらすはずです。VUCAと呼ばれる予測不可能な変動の激しい時代にあって、それを豊かで可能性に満ちた時代に替えるため、さらに、そこにデザインという行為が深く関わっていけるようにするために。現代を生きる賢者たちは今何を想うのか。彼ら彼女らの智力と言葉から、新たなデザインの道標を探ります。
Vol.206 | 2020年07月01日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
表紙: | 特集題字 安藤北斗(we+) 表紙写真 久家靖秀 |
016
レム・コールハース( 建築家)
レム・コールハース。建築家、都市計画家、作家としてさまざまな表現でいつも未来の都市、社会の姿を示唆してきた。そのコールハースに、コロナ後の世界観を聞いた。
022
ロベルト・ベルガンティ( デザイン理論家)
ストックホルム・スクール・オブ・エコノミクス(SSE)でリーダーシップ論とイノベーション論について研究するロベルト・ベルガンティ。「アイデアに溢れる現代社会のなかでは、“ 意味のイノベーション” にこそデザインの本質的な価値がある」ことを一貫して説き続けている。リーダーシップ、デザイン、テクノロジーマネージメントの有機的な関係を研究するベルガンティは、巨大な価値の転換が起きつつあるなかでどんな未来を予想するのだろうか。そして、これからのデザインに「意味のイノベーション」は何を要求するのだろうか。
026
ジョン・マエダ( デザインビジョナリー)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響にはどんなことがあるのか?その結果はいまだ目に見えず、実際に実感するのは現在ではなくまだもっと先のことかもしれない。毎年ヒューストンで開かれる大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」でデジタル社会に提言し、注目を集めてきたジョン・マエダ。彼が考えるコロナ以降の新しいビジネス、組織のあり方について尋ねた。
030
松尾 豊( 人工知能研究者)
新型コロナウイルスの刻々と変わる感染状況は、先端テクノロジーが解決に貢献できる機会を提供している。人工知能のひとつディープラーニングの最前線の研究者である松尾 豊に、この状況について聞いてみた。
034
川崎和也( スペキュラティブ・ファッションデザイナー)
昨年、100%循環型のファッション業界を目指して開催されたイノベーション・コンペティション「H&Mグローバル・チェンジ・アワード」。このアワードで日本人として初めて受賞を果たしたのが川崎和也だ。バイオテクノロジーやAIを駆使して問いかける次世代デザイナーの目に、新たな感染症に見舞われたファッションはどう映っているのか。
038
カズ・ヒロ( 彫刻家)
メイクアップ・ヘアスタイリング部門でアカデミー賞を2度受賞したカズ・ヒロは、コロナ禍で世界の活動が止まった今は「みんなが試されているとき」だと語る。ハリウッドでも映画製作が中断されたうえ、親密な距離が必要とされる製作プロセスや現場が、今後どんな変化を遂げるのかは不明だ。それでも「人生で何が大事かを考える時間を与えられた」と感じている。
042
上出遼平( テレビディレクター)
「世界のヤバい奴らは、何食ってんだ?」という問いかけで始まる話題のドキュメンタリー番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」(テレビ東京)。食べること=生きること。番組ディレクターである上出遼平は、目を背けたくなるような過酷な現実や、逃げ出したくなるような相手の懐に果敢に飛び込み、「あなたの食事を撮らせてほしい」とカメラを向けてきた。さまざまな体験を見聞きしてきた上出に、現在の状況などについて聞いた。
046
MASSデザイングループ( 建築家集団)
活動の場を失ったクリエイターが自粛生活を楽しむ工夫などをネットで発表するなか、COVID-19対策班をいち早く立ち上げ、病棟デザインのガイドラインや飲食店の対策を精力的に発信しつづけた非営利の建築家集団がいる。ルワンダの首都キガリとアメリカのボストン、ポキプシー、サンタフェに拠点を置くMASSデザイングループだ。感染症病棟の設計で実績を積み、社会インフラの構築に力を注ぐ彼らに尋ねた。
052
太刀川英輔( デザインストラテジスト)
緊急事態宣言(2020年4月7日)発令の2日前、新型コロナウイルス(感染拡大防止)対策サイト「PANDAID(パンドエイド)」が立ち上がった。発案者であるNOSINER(ノザイナー)代表の太刀川英輔は、「世界でいちばんわかりやすいコロナサイトをつくりたかった」と語る。PANDAIDは、すでに6カ国語で配信されている。ただし、彼の目指すところはもっと先にあるようだ。世の中が激変する今、デザインが担うポテンシャルについて、その思いを聞いた。
056
畠山直哉( 写真家)
都市景観から自然風景にいたるまで、これまで数々の写真作品を発表してきた畠山直哉。世界各地に足を運びながら、写真表現への思考と言葉を培ってきた氏の、コロナ社会への眼差しとは。
060
マルヴァ・グリフィン・ウィルシャー( キュレーター)
世界最大のデザインイベント「サローネ・デル・モービレ(通称、ミラノサローネ)」内で開催される、35歳以下の若手デザイナーを対象にした展覧会「サローネ・サテリテ」。その創始者であるマルヴァ・グリフィン・ウィルシャーは、今こそ世界が一丸となって時代を動かすときだと、強く訴える。
064
西野嘉章( 博物学者)
あらゆる危機と同様に、コロナウイルスは人々の表現のあり方を変えつつある。コロナ時代の創作が意味すること、そして、この危機を未来に向けてアーカイブするためにミュージアムの果たすべき役割を、博物学者でインターメディアテク館長の西野嘉章が語る。
068
パオラ・アントネッリ( キュレーター)
COVID-19のパンデミックは、世界の美術館や博物館にも深刻なダメージを与え、入館の停止や展覧会の中止が今なお続いている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の建築・デザイン部門シニアキュレーターのパオラ・アントネッリは、これまでにも危機や緊急事態下におけるリスクとデザインの関係に焦点を当てた企画展を開催してきた。現在のMoMAのオンラインでの取り組みとともに、アントネッリ自身がインスタグラムでスタートさせた「デザイン・エマージェンシー」について聞いた。
072
鼎談 松岡正剛( 編集者) × we+ 安藤北斗・林 登志也( コンテンポラリーデザインスタジオ)
ウイルスとの共生社会でデザイナーができること
独自の編集工学で森羅万象を読み解く松岡正剛と、注目のコンテンポラリーデザインスタジオwe+を率いる安藤北斗と林 登志也が、ポスト・コロナ/ウィズ・コロナの時代を前に、デザインの向かうべき未来について語り合う。
081
LEADERS
安次富 隆(プロダクトデザイナー、2020年度グッドデザイン賞審査委員長)
086
Sci Tech File
見えない世界が見えてくる 昆虫学者に聞く観察の極意
092
Insight
SDGsとヒューマニティ―ポジティブな力で社会課題の解決に挑む
100
Insight
広がり始めたアフリカンファッションの波動
―ユナイテッドアローズ、栗野宏文と考える、これからの服
108
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト: 米良はるか(READYFOR代表取締役CEO)
114
クリエイターズナビ
片倉洋一、ネリ&フー、眞城成男、ヘモ・ホンコンネン、大西隆介
120
& DESIGN
土田貴宏(インテリア)、君島佐和子(フード)、大根田 杏(ファッション)、太田睦子(アート)、長谷川敦士(ビジネス)
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