特集
uni:forms
ニューノーマルをまとう
制服や軍服など、世の中には「uniform(ユニフォーム)」と呼ばれるものが多数存在します。同じスタイルを身にまとうことで、仲間意識を強めたり、あるいは他者との区別を図ったり。そんな記号的な意味で語られることの多いユニフォームですが、同時に、環境に合わせた機能性に富み、普遍性を兼ね備えているのも特徴です。
コロナ禍が続いて1年半。スーツやフォーマルウェアなどの需要が大きく減少するなか、着心地のよさや快適性、時代を超えて共有できる価値を独自のスタイルとして提案するブランドや服づくりの取り組みが増えつつあります。常に新しさを求めてきた従来のファッションビジネスから距離を置くそんな動きは、ユニフォームそのものを再考、再構築し、新たな解釈を与えようとする試みにも映ります。
ユニフォームという言葉の多面的な広がりを通して、これからの人、環境、服との関係性を問いかけます。
Vol.212 | 2021年07月01日 発売 |
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定価: | 1,800円 |
表紙: | 表紙写真:三部正博 |
018
巻頭対談
社会を映すユニフォームのこれまでとこれから
近年、ミリタリーや歴史的なアカデミーのコスチュームなど、ユニフォームがファッションのキーワードのひとつになっている。一方で、トレンドを踏まえたうえで実用に徹したベーシックな服が人気を博し、若い世代のユニフォームと化している。現代のユニフォームとは何か。人がユニフォームを選ぶときに、そこに社会が見えるのではないかとの仮説のもと、ユニフォームとファッション、社会との関係について、朝日 真さんと藤田結子さんが語った。
024
衣服を通して、普遍的な価値を示す
CFCL(高橋悠介)
「イッセイ ミヤケ メン」のデザイナーを6年にわたり務めてきた高橋悠介が、2 020年、自身のブランド「CFCL」を設立した。3Dコンピュータ・ニッティングの可能性を拡張しながら、時代に左右されない「普遍的な価値」を備えた衣服を発表している。服づくりの根底にあるのは、環境への配慮、最適な国産素材の選択、流通経路の透明性など、サスティナビリティへの強い意識だ。
028
多様性という「思想」が次の100年を生む
TANAKA(タナカサヨリ)
2018年春夏コレクションでデビューしたニューヨークベースのファッションブランド「TANAKA(タナカ)」。性別や国籍、さらには時代を超えて愛される服づくりを目指し、すべてのアイテムをユニセックスで展開する。ブランドを立ち上げた日本人デザイナー、タナカサヨリが試みるのは、従来の「ユニセックス」というイメージの更新だ。
032
動きを妨げない、身体と一体化するウェア
ポスタルコ(マイク・エーブルソン、エーブルソン友理)
2020年、1枚の白いシャツを発売したポスタルコ。腕の動きを妨げないことに着目して生まれたこの1着によって、長年続けてきた身体とウェアの関係の模索に、いったん終止符が打たれた。どこにでもあるシャツを見直して生まれた、
どこにもない構造とは?身体との一体化を図った構造の先に、ポスタルコのアパレルが広がっていく。
036
古来の技術を未来へつなぎ、上質な原型を紡いでいく
Échapper(久﨑康晴)
30年以上の長きにわたりファッション業界に身を置いてきた久﨑康晴は、足掛け4年以上の歳月を試作と技術研究に費やし、2020年、ホームウェアやホームアイテムを扱うブランド「Échappe(r エシャぺ)」を立ち上げた。パンデミックを経て、ホームウェアの位置づけは大きく変化し、「着る人の肌にも地球にもやさしい」衣類は、これからの服と環境の関係を考えるうえで共通のスタンダードとなりつつある。久﨑の考える、未来を担う「ユニフォーム」の姿とは?
040
森永邦彦(アンリアレイジ)、西崎 暢(ウジョー)が語る
今日的ユニフォームのデザイン
特定の目的に準じてつくられることが少なくないユニフォーム。それゆえに、実現への課題は多く、そこにはデザイナーの経験や創意が求められる。国際的なイベントでのユニフォームをデザインした森永邦彦と、著名ブランドのユニフォームの刷新を手がけた西崎 暢。それぞれのミッションを具現化したふたりが、ユニフォームのデザインについて語った。
046
“作業用ユニフォーム” で巻き起こすふたつの循環
「Worker」をひっくり返したネーミングのREKROW(リクロー)は、ユニフォームを起点に、サーキュラーエコノミー構築に取り組むプロジェクト。使い古され、捨てられる作業着に価値を見出し、新しい経済の循環を生み出そうとするアクションが、衰退する地域の産業にも循環をもたらす。
050
アートがユニフォームを開放する
パグメント
ユニフォームというキーワードは、ファッションの世界を刺激するだけにとどまらない。個を追求するアートの世界においても、時にはアンチテーゼとして、あるいは映し鏡として、創造への出発点となっている。アートの思考法を基軸に、人・都市・社会と衣服の関係性について提示しているファッションブランド、PUGMENT(パグメント)。大谷将弘と今福華凜のふたりは結成当時からユニフォームに興味を持っていたと語る。
054
宇宙空間での衣服は地上の装いを変えるか?
特集の最後を飾るのは、「宇宙と地上双方の暮らしをアップデートする衣服」プロジェクトに参画するシタテルCEOの河野秀和とスノーピーク アパレル企画開発課エグゼクティブクリエイターの菅 純哉のふたり。「Earthian Wea(r アーシアンウェア)」と名づけられた、地上と宇宙をシームレスにつなぐ衣服は、JAXAが2022年以降にISSに搭載する生活用品の候補に選定された。宇宙におけるユニフォームとも捉えられるアーシアンウェアが秘める可能性について、語ってもらった。
006
Close-Up
GOOD OFFICE 新橋(堀ビル)
061
LEADERS
斎藤幸平(哲学者、経済思想家、マルキスト)
066
Sci Tech File
見慣れた世界が一変する地衣類、観察のすすめ
072
Insight
建築家、アンヌ・ホルトロップの揺らぐフォルム
078
Insight
飛驒産業と彫刻家が挑む、現代の“アーツ・アンド・クラフツ”
084
Insight
これまでの10年、これからの10年
企業の変革を担うデザインファームIDEO Tokyo
090
Insight
コロナ禍のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に探る、未来へのヒント
098
Insight
城谷耕生は何をデザインしたのか
長崎県小浜町に息づく営みのデザインを探る
109
クリエイターズナビ
ウィリアム・チァー、ミヒャエル・ジーガー、水戸岡鋭治、we+、秋田祥秀
114
田川欣哉のBTCトークジャム
ゲスト:岡島礼奈(ALE 代表取締役社長/ CEO)
120
& DESIGN
フード(君島佐和子)、アート(太田睦子)、インテリア(土田貴宏)、ファッション(大根田 杏)、ビジネス(長谷川敦士)
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