9月9日より公開!「あしたは最高のはじまり」
フランス流、ポップに魅せる感動の“家族”ドラマ

▲PHOTO : Julien PANIÉ

「最強のふたり」で世界的スターに輝いた俳優、オマール・シーが笑いと涙のフランス発バディ・ムービーに帰ってきた!

本国で8週連続トップ10に君臨し、ヨーロッパ全土でもヒットを記録した映画「あしたは最高のはじまり」がとうとう9月9日より角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、渋谷シネパレス他全国公開される。

原案はアメリカでも大ヒットを記録したメキシコ映画「INSTRUCTION NOT INCLUDED」。既に世界5カ国でリメイクが決定している。本作では世界中が魅せられたストーリーの舞台をロンドンと南仏コートダジュールに変え、個性的なキャラクターが魅力的に練り上げられて登場している。

▲PHOTO : Julien PANIÉ

主人公はコートダジュールで観光客向けのヨットの仕事をしながらも毎日がバカンスのような気楽な暮らしを続けるサミュエル(オマール・シー)。ある日彼のもとにかつて関係を持ったことすらよく覚えていないクリスティン(クレマンス・ポエジー)という女性が現れ、「あなたの娘、グロリアよ」と生後3ヶ月の赤ん坊を託して去ってしまう。慌てたサミュエルはクリスティンを追ってロンドンまで向かうも彼女は姿を消してしまい路頭に迷う彼を助けたのは、ロンドンの地下鉄で彼に一目惚れをしたゲイのベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)だった!

お気楽でご都合主義の生活から一変、赤ん坊のシングルファーザーになったサミュエルとベルニーとグロリア。「夢のような人生を送る」と決めた3人の、どうやら“普通”ではないらしい家族の物語だ。

▲PHOTO : Julien PANIÉ

サミュエルとベルニーがたっぷりの愛情を注ぎ、明るくユーモアに溢れた女の子に育ったグロリア。彼女のもとには毎晩「任務で世界中を飛び回っている敏腕エージェント」だと聞かされている母親からメールが届いていた。だけれどそのメールは、グロリアが眠ったあとにサミュエルが送っていた嘘のもので、実際のクリスティンは8年間1度も連絡をよこさず行方をくらましていたのだった。それがある日突然、クリスティンからメッセージが着たことで、型破りな家族の暮らしはかたちを変えていく……。

▲PHOTO : Julien PANIÉ

今や「型破りな家族」は全く珍しいものではない。実の親であろうがなかろうが、別居していようが同棲していようが、その家族の正しさを測る尺度はなく、考え方のみが数多に存在している。一見普通ではない家族だとしても惑わされず、「夢のような人生を送るのだ」と決めるサミュエルに、海辺のバカンス時代の無責任さは微塵も感じられない。ただ大切な女の子のために日々過ごすサミュエルの姿に、思わず笑みがこぼれる。

一方でこの映画で責められるべき人物もまた、存在しないのだ。ひとつひとつの行為を咎めることはできても、彼が嘘を吐く心情を、彼女の心の傷を誰に非難できるだろう。この映画は自分に見えている他人の心はいくら近しくても一面でしかないという事実を相手のために思い出すことの大切さを、教えてくれる。

▲PHOTO : Julien PANIÉ

劇中で見逃せないポイントはまだまだある。
サミュエルとグロリアの暮らすロンドンの家のインテリアは、弾けるようなポップさが遊園地さながら。壁面の色づかいや個性的な照明などはマネしてみたくなるほど可愛い。筆者が発見しただけでもnormannの木製シャンデリアやANGLEPOISEのフロアランプなど、劇中ときめくインテリアのアイコンは尽きない。

ANGLEPOISE公式HPより(左)、normann公式HPより(右)

映画をリードするような存在感のある音楽も要チェックだ。「リトル・ミス・サンシャイン」や「(500)日のサマー」などを手がけたロブ・シモンセンが本作も担当している。終盤にかけて流れるピアノの旋律は映画を見終えた後にも時々思い出すほど印象に残っている。

すべてのシーンに思いやりのあるユーモアの詰まったこの映画の公開をぜひお楽しみに! 天真爛漫なグロリアが夢のような人生を送るためのヒントをくれるはずだ。