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23時間前
マンハッタンの高層ビル群。そのふもとでは、大人や子どもが気ままに泳ぐ—大都市ニューヨークの風景を変えるプロジェクトが間もなく実現しようとしている。「+POOL」はひとりの建築家のアイデアから生まれた、都市の川でも泳ぐことを可能にするプールである。そこで描かれた水と都市の新たな関係は多くの人を魅了し、構想から14年経った2024年、遂にニューヨーク州とニューヨーク市も出資する公共事業として発表された。実現に向けた挑戦の歩みを、発案者であり現在もプロジェクトの進行を見守る建築家のドン・ピン・ウォンに話を聞いた。
マンハッタンの風景から浮かんだアイデア
ニューヨークの建築家、ドン・ピン・ウォンが、川に浮かぶ十字型のプールのアイデアを思いついたのは2010年、友人とビールを飲みながらブルックリンの川岸からマンハッタンの風景を眺めていたときだ。海に面したカリフォルニア州サンディエゴでサーフィンをして育ったウォンは、ニューヨーク市民には水が汚いものだと感じられていること、そもそもマンハッタンがふたつの川に挟まれた島であることすら忘れられていることに思い当たった。
ウォンは言う。「大都市ならどこでも同じでしょう。水は自然環境ではなく産業ゾーンにあるものだと思っている人が多いのです」。
そこから「+POOL」のアイデアに至るのはすぐだった。1カ月ほどかけてデザインを詰めつつ、エンジニアやグラフィックデザイナーの友人たちの協力を得てウェブサイトを立ち上げた。このプールは、大都市ニューヨークの川でも安全に泳げるようにするための浄水装置でもあるという点が特徴だ。