「WONDER POWDER」が探究するもの
we+が目指す、コンテンポラリーデザインの美学

2022年に始動した「WONDER POWDER」は、島津製作所のデザイン部門「Shimadzu Design」とwe+がパウダー(粉末)化した素材を通して、美しさを探究するリサーチプロジェクト。今秋にはそのスピンオフ企画として、大田区の奥深さや面白さを紐解く「WONDER POWDER in OTA」を開催した。さまざまな粉体が什器の中で美しく舞う空間で、作品を前にwe+の林 登志也と安藤北斗、美学者・伊藤亜紗が「美しさとは何か」について語った。

会場にはwe+がオリジナルで設計したパウダーを展示するための透明什器が並ぶ。一部の什器は、来場者が自由に動かすことができ、回転する什器の重力にしたがって、花片のようにケースの中で舞い踊る様子を楽しめる。

鉱物から絵の具が生まれ、小麦からパンがつくられたように、人類は古くから固形物を砕きパウダーにすることで、素材の可能性を広げてきた。we+と島津製作所のデザイン部門「Shimadzu Design」は、そんなパウダーの力に着目。リサーチと実験を重ね、固形の状態からは想像できないようなパウダーの豊かな表情や躍動的な振る舞いを可視化したインスタレーション「WONDER POWDER」を2024年4月のミラノデザインウィーク、そして10月のアクシスギャラリーにおける巡回展で発表した。