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2024.12.26 16:07
書体デザイナーの高田裕美が8年を投じてできた「UDデジタル教科書体」。あるディスレクシア(発達性読み書き障害)の男の子は、このフォントの教材を見て「これなら読める! おれ、バカじゃなかったんだ!」と言った。高田がこのエピソードをツイートすると、たちまちバズり、切実なコメントも多数寄せられた。UDフォントがそれほどまで求められていたことを、開発担当者さえ気づいていなかった。
障害は人でなく社会にある
フォントひとつに、子どもの一生を変えていく可能性があることを、多くの人は想像できない。学校での学びの起点には教科書があり、文字がある。その文字が読めなかったとき、子どもはたくさんのことを諦め、我慢していくようになる。読めない自分が悪いとわが身を苛むだろう。しかし、文字の形を読みやすいものに改善できれば、状況は一変するかもしれない。書体は、情報を伝え、イメージを伝え、読みやすさを助けるものとなるようデザインされる。問題は読めない人ではなく、文字のほうに、つまりデザインに課題があるのではないか。
「障害は人ではなく、社会にあるんです」と、UDデジタル教科書体の開発にあたった書体デザイナーの高田裕美は言う。