EYES ON K-DESIGN
#02 韓国のデザイン教育を牽引するID KAIST

K-POPをはじめとするエンターテインメントを筆頭に、世界から注目されている韓国カルチャー。今や食品から化粧品まで、さまざまな製品がコンビニに並ぶほど韓国のデザインは身近な存在になった。しかし隣国でありながら、その背景や最新の動向はあまり知られていない。韓国のデザイン事情を、ジャーナリストのユ・ソンジュがひも解く。

韓国のグラフィックデザインスタジオ「Paika」が、パリの韓国文化院で開催される展示会用に制作したグラフィカルなポスター。伝統的な遊びと未来的な遊びを組み合わせており、没入型イベントの魅力を生き生きと表現している。

デザイン革命 — エンジニアリングとクリエイティビティの交差点

前例のない急速な変化が進む現代社会では、適応力が最も重要な資質のひとつとなっている。デザインや美学の概念が進化するなかで、人間とその環境に対する深い理解を元に異なる分野を再解釈し、再構築し、統合する能力、そしてクリエイティビティに対するよりオープンな視点が求められている。

この変革の最前線に立つのがKAIST(韓国科学技術院)である。1971年に韓国初の科学技術大学として設立されたKAISTは、科学的人材の育成と国主導の研究推進を使命としている。半世紀を経て、卒業生は韓国だけでなく、世界中でイノベーションを起こそうと活躍している。

特に注目すべきは、86年に韓国の工学部内で初のデザイン学科として誕生した、産業デザイン学科(ID KAIST)である。