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2024.11.20 16:59
本連載では、課題解決に挑むアフリカの実践者たちの視点を伝えることによって、多様かつグローバルな「アフリカデザイン」の理解を深め、その複雑さに迫る。第2回では、欧米主義的な建築世界のシングルストーリーに抗い、地域の気候、文化、人々の暮らしに適応した建造環境を提案するニジェール人建築家、マリアム・イスフのデザイン手法を紐解く。
ニジェールで培われた建築家としての指針
サハラ砂漠南部に位置する西アフリカの内陸国ニジェールの都市、アガデス近郊で育ったマリアム・イスフの建築に対する考え方は、この国の特性と深く関係する。面積は日本の約3.3倍で、8割以上をサハラ砂漠が占める。月平均気温は21.9度から36.4度で、特に暑くなる3月から8月の平均最高気温は39度だ。外は酷暑だが、土でつくられた家の中に入ると身震いするほどの涼しさだったという。そうした環境によって、イスフには、建築家を目指す以前に、温度や温度がもたらす快適さへの強い意識と、居住性へのこだわりが芽生えたのだ。