NEWS | ソーシャル / プロダクト
2024.11.06 11:36
2024年度グッドデザイン大賞にジャクエツの「RESILIENCE PLAYGROUND プロジェクト」が選ばれた。
全国で約2万人いるとされる「医療的ケア児」(医療的ケアが日常的に必要な子どもたち)にとっては、外出や旅行のみならず、遊ぶ機会をもつことも難しい現状がある。遊びから遠いことで、「友だちと一度も遊んだことがない」「遊ぶ機会がなく、笑顔が少ない」など、つながりや感情の豊かさが乏しくなるという課題がみられる。
そこで、医療と遊具の分野を越えて、「障害の有無に関わらず誰もが遊ぶことができる遊具」の開発を、福井県敦賀市のジャクエツが行っている。同社が展開する遊具研究プロジェクト「RESILIENCE PLAYGROUND」では、自分らしく遊べることや分け隔てなく遊べることを目標に3つの遊具を作り上げた。
「YURAGI」は、健常な子でも身体の不自由な子でも、みんなで揺れ遊びを楽しめるトランポリン遊具だ。真ん中に穴が空いたドーナッツ型の遊具に乗ることで、身体感覚やバランス感覚を養うとともに、表面に施された起伏と環状の循環構造により、ぐるぐると遊び続けられる。大人が内と外からケアしやすく、遊具の高さもないため見守りの場所にもなる。
ブランコの揺れ感覚を体験できる「KOMORI」は、視界をできるだけ狭めた「こもり空間」を備えているのが特徴。球型の形状により、背中がぴったりと座面につきやすく、安定した楽な姿勢で揺れることができる。球体のなかでは音の反響が楽しめ、周りの人が揺らしてあげれば、身体を自由に動かせない子とも関係性が生まれる。
「UKIWA」は、前後の大きさを変え、身体の個性にあわせてちょうどいい乗り方ができる浮き輪状の遊具である。体勢を変えたり、手を動かしたりと、少しの身体の動きでも揺れが生まれるため、自分で揺れを生み出して遊べる。座面の外側は角がなく、大きく丸みがついているため、揺れたときに当たってもケガをしにくい。
これらの遊具は、福井市にて医療的ケア児の支援を行うオレンジホームケアクリニックの代表で医師の紅谷浩之氏が監修。色や素材などから強い感覚刺激を受けられるように配慮しているほか、障がい児専用ではなく健常とされる子も楽しめるデザインとした。
さまざまな個性をもつ子どもたちと一緒に遊具の開発を行い、家族や友だちと一緒に過ごせる地域の居場所を創出したことも評価された。現在では幼稚園、公園、商業施設などで122基の遊具が設置されるなど、ますます広がりを見せている。