学びの場と環境への配慮を兼ね備えた
スノヘッタ設計の中国・北京都市図書館

© Yumeng Zhu

中国に蔵書800万冊と世界最大級の閲覧スペースを備えた北京都市図書館がオープン。設計は、ノルウェー・オスロを拠点とする建築設計事務所 スノヘッタが担当した。都会のランドマークであり、個人の学習だけでなく人と人とのつながりを生み出し、知識の共有やコミュニティの発展を促すハブとなる施設だ。

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この図書館は、自然が残る北京東部・通州区に位置し、周辺の景色が設計に取り込まれている。館内の中央には、高さ約16mを誇る広々としたエントランスがあり、周囲には滑らかでリズミカルなカーブを描く階段状のテラスが広がる。付近を流れる川をイメージしたメインの通路が、テラスの中央の谷間のように走っている。

この谷間から段々に登る丘のようなエリアには座席や書架がゆったりと配置され、リラックスしながら静かに読書ができる。さらに、プライバシーを確保した閲覧スペースや会議室も丘の内側に用意されている。

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この図書館のもうひとつの特徴が、近隣の自然景観と館内をシームレスにつなげるガラス張りのファサードだ。館内では、目の前に自然を感じながら閲覧スペースで学習に集中できる。

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白くて細長いキノコのような柱と、天井にある葉のようなパネルは、長い樹齢をもつ中国のイチョウをイメージ。このパネルと格子状になった屋根ガラスの隙間からは、柔らかい陽光が差し込み、閲覧スペースの丘を頂上まで登れば、地平線に広がる景色が一望できる。建物の北側と南側の入口にはイチョウの木が植えられており、自然とのつながりを一層強調している。

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こうしたさまざまな建築要素には、環境への配慮が組み込まれている。たとえば白い柱には、館内の温度や照明、音響を制御するテクノロジーや、雨水を収集して再利用するためのテクノロジーを搭載。屋根には再生可能エネルギーを生成するための太陽光パネルを組み込んだ建材を使用するなど、CO2排出量を最小限に抑えている。北京都市図書館は、最先端の技術とデザインを融合させ、環境への配慮と学びの場としての機能を兼ね備えた、注目の次世代型施設だ。End

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