NEWS | アート / 展覧会
2024.10.09 11:29
パリのファッションブランド メゾン マルジェラは、東京の「メゾン マルジェラ オモテサンドウ」で、同ブランドのシグネチャーハンドバッグにフォーカスした、「5AC」ハッキングプロジェクトを2024年10月17日(木)まで展開中。展示作品は、ブランドの公式サイトでも公開している。
2016年の発表以来、さまざまなスタイルで解釈されてきた「5AC」。このバッグを特徴づけるのは、メゾンのコード「アノニミティ・オブ・ザ・ライニング」だ。内側の要素であるライニングを匿名化し、デザインや機能としての第二の用途を与えることによって、引き出されたライニングがバッグの形状を変容させ、4本の白いステッチをあしらったフラップのようなデザインに生まれ変わる。
今回は、グラフィックデザイナーの田中義久と彫刻家の飯田竜太によるアーティストデュオ「Nerhol」、木版画作品を手がける大竹笙子、ドローイングを中心にさまざまな表現を行う「BIEN」、テキスタイルデザイナー 須藤玲子が率いるブランド NUNOとコンテンポラリーデザインスタジオ we+による協働プロジェクト「NUNO|we+」という日本人アーティスト4組が、それぞれの独創的なアングルから「5AC」を再解釈した。
Nerholは、カンバスを用いた「Canvas(Nusa)」を制作。職人の協力のもと、貴重な大麻(おおあさ)の繊維で紙を漉き、その紙を細切りにしたうえで紙を撚って糸にし、それを織機で織り100%麻の紙のカンバスをつくった。さらに、平織りとジャカード織りを使い分けて表情に変化をつけたカンバスの表面を、穴が開くほど擦り、削りとって、そこに牛の膠(にかわ)を塗り重ねた。カンバスの網目の向こう側に「5AC」を配置することで、バッグの輪郭や素材が立ち現れる。
日常で目にした情景を具現化する大竹が手がけたのは「HACKED PATCHED」。頭の中がハッキングされ、現れたイメージが増殖していく様子を表現した。ひとつのアイテムの中に異なるピースを融合させることは、アイテムのストーリーを呼び起こし、新たな価値を見出すメゾンのコード「メモリー・オブ」にも通じている。
BIENの作品「Visible observation for 5AC」は、人類がつくり出すイメージやフィクションという幻影と、不変的な物質が織りなす世界を紐解く試みとして、複数のMDF彫刻と「5AC」マイクロで構成された。通常は「バッグ」として認識されている「5AC」が、その名称を取り去ることで、彫刻作品と同じように一義的なジャンルでは分けられない、なにか得体の知れない異物として現れることを目的としている。
NUNO|we+の「回転するキューブ-Inverse Equation」は、テキスタイルの一部である四角い刺繍片がゆらゆら動くNUNOの刺繍布「スイング四角」の制作工程を3つのキューブで表現した。「5AC」を包み込んだキューブは、閉じられた空間でありながら、回転することで無限に広がる空間へと変容することを表している。
5AC Hacking Project
- 会期
- 2024年10月3日(木)~10月17日(木)
- 営業時間
- 11:00~20:00(不定休)
- 会場
- メゾン マルジェラ オモテサンドウ
(東京都渋谷区神宮前5丁目10-1 GYRE 1階) - 詳細
- https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/the_5ac_hacking_project.html