マセラティ、完全電動による
ラグジュアリー・モーターボート「TRIDENTE」を公開

イタリアの自動車メーカー マセラティは、2024年9月下旬に開催された世界最大級のスーパーヨットの見本市「第33回 モナコ・ヨットショー」において、ラグジュアリー・モーターボートの新モデル「TRIDENTE」を発表した。

イタリア・モデナを拠点に完全電動ボートを製造する企業 Vita Powerと共同開発した「TRIDENTE」は、マセラティが推し進める電動化の戦略を陸上から海上へと拡張するもの。

課題となっていたのは、海洋環境への負荷の軽減。Vita Powerが開発したのは、DC(直流)急速充電に対応する高性能の電動パワートレインで、これにより、軽油480リットル搭載の全長10mのクルージングボートが1日の航行で排出するCO2約1,290kg(標準的なディーゼル車であれば3カ月分のCO2排出量に相当)をゼロにした。さらに、エンジンの騒音、燃料による海洋汚染、「ビルジ水」と呼ばれる船底に溜まる汚水をカットできる。

湖や海岸での日帰りのクルージング向けに設計されており、全長は10.5m。最高出力600hp、バッテリー容量は252kWhで、10名まで乗船が可能。1時間の充電で巡航速度25ノット(時速約46キロ)、最高速度40ノット(時速約74キロ)と、マセラティらしいパフォーマンスを発揮する。

アメリカのヨットメーカー Hodgdon Yachtsが手がけるボディの材料には、軽量カーボンファイバーを使用。シャワーと遊泳用のはしごを備えるほか、前方のキャビンには昼寝用のベッドとトイレを完備し、サンデッキでもゆったりと寛げる。細やかな職人技と非常に静かな電動モーターにより、快適な乗り心地や波の音、同乗者との会話を存分に楽しめる。End