チームラボ「隠田跡」、「隠田跡の水鏡の道」、「幽谷の呼応する森」© チームラボ

チームラボは、夜の森のミュージアム「チームラボ 幽谷隠田跡」（ゆうこくおんでんあと）を、茨城県北茨城市五浦（いづら）にて2024年9月30日にオープンした。夕暮れとともに奥深い森に隠された谷の棚田跡をアート空間へと変える、チームラボならではの展示を行う。

五浦は、近代日本の美術運動家 岡倉天心が晩年に居を構えた地であり、その海沿いには入ることも困難な山があった。その深い森を抜けると谷があり、アシに覆われた湿地の天水棚田（てんすいたなだ）と呼ばれる雨水だけでつくる棚田の跡が残されている。

チームラボは、「自然が自然のままアートになる」ことを目指すプロジェクト「Digitized Nature」を展開しており、長い時間を経た存在をそのまま使い、時間の連続性に対する私たちの認知の境界を越えることを試みている。「チームラボ 幽谷隠田跡」では、この棚田跡を覆う森の全体を作品空間とした。

チームラボ「隠田跡の水鏡の道」、「隠田跡」、「幽谷の呼応する森」© チームラボ

チームラボ「幽谷の竹林」© チームラボ

チームラボ「タブノキに宿る呼応する宇宙」© チームラボ

チームラボ「切り取られた連続する生命」© チームラボ

作品は、「隠田跡」や「隠田跡の水鏡の道」といった隠田跡を活かしたものから、歩く速度やペースによって音楽体験が変わる「幽谷の竹林」、近くを通ると光を放ち音色を響かせる「幽谷の呼応する森」、タブノキに近づくと球体の輝きや音色の響きが周辺に連鎖していく「タブノキに宿る呼応する宇宙」などを展開する。

チームラボ「海が立ち上がる時花が咲く－五浦の海」© チームラボ

チームラボ「海が立ち上がる時花が咲く－五浦の海」© チームラボ

チームラボ「連続する生命の痕跡」© チームラボ

10月8日（火）からは、新作「海が立ち上がる時花が咲く－五浦の海」と「連続する生命の痕跡」が登場。前者は、五浦の海の力強く立ち上がった波を生命の息吹に見立てた作品である。後者は、長く連続した時間のなかで、あらゆるものがつながり合う痕跡を表現したもの。自然と人の営みが連鎖する長い時間に思いを馳せながら、森に隠された棚田跡をアート作品として楽しみたい。