Apple Vision Proは、
デザイナーの仕事をどのように拡張するのか

2024年時点で手に入るテクノロジーで最も未来を感じさせるものと言えば、真っ先に名前が挙がるのが生成AIとApple Vision Proだろう。後者は60万円とAR/VRゴーグルのなかでも最も高価な部類だが、最先端テクノロジーを凝縮し、それに見合う品質と体験を提供していると評判だ。「空間コンピューティング」と呼ぶ新しいデジタル作業のスタイルの確立に向けて、アプリ開発者がこの体験をどのような点に注意して、どのように設計すべきかを示したヒューマンインターフェイスガイドラインも整備されている辺りはさすがアップルと言えよう。

既存のAR/VRゴーグルとの決定的な違い

ここで改めてApple Vision Proがどのような製品かを整理したい。

まず、ほかのAR/VRゴーグルとはどこが違うのか。アップル社で初代iPhoneからこのApple Vision Proまでのインダストリアルデザインに関わっているバイスプレジデント、リチャード・ハワースは、これまでのAR/VRのゴーグルは装着すると周囲から隔絶されて孤独感を感じるつくりになっていたが、本製品では「装着した瞬間に自分の周りの世界や、自分の周りにいる人たちがすぐに見えるデバイスにしたかった」と語っている。実際にその通りで、1度初期設定をしておけば、装着していないときとほとんど変わらない視界が装着後すぐに開ける。ちなみに目で直接周囲の環境を見ているように感じるが、これらはすべてリアルタイムの映像で、本体右上のデジタルクラウンを回して山頂、湖畔、月面などのデジタルの風景に置き換えることもできる。