粉末の可能性を感性と論理の2方向から探る
「WONDER POWDER」展


鉱物から絵の具が生まれ、小麦からパンがつくられたように、私たちにとって身近な「粉末」に着目した展覧会が開催される。人類は古くから、固形物を砕き粉末にすることで、素材の可能性を広げてきた。粉末化は、人類にとってもっともプリミティブな加工方法のひとつと言えるだろう。粉末にすることで素材が扱いやすくなり、用途が広がるのはもちろん、固形の状態では決して見ることのできなかった豊かな表情やふるまいに出会うこともある。

リサーチ風景

そんな粉末の可能性に魅せられた島津製作所とデザインスタジオwe+によるリサーチプロジェクト「WONDER POWDER(ワンダーパウダー)」が、始動したのは2022年。以来、たとえば水中での動きを観察するだけでなく、島津製作所の分析機器を用いて科学的に分析するなど、感性と論理の2方向からアプローチしながら粉末が魅せる美しさを探究してきた。その研究成果の一部は、今年4月、ミラノデザインウィークで開催されたエキシビション「WONDER POWDER」で発表され「Fuorisalone.it」が主催する「Fuorisalone Award」において”mention interaction” を受賞した。


ミラノデザインウィーク2024 展示風景 Photo by Hiroki Tagma

日本初披露となる本展では、ミラノデザインウィークの展示内容を余すことなくすべて再現。本プロジェクト独自のアプローチで導き出す15種類の素材の特性を科学的に知り、また、インスターレションを通じて物質そのものの魅力や美しさを感じてほしい。

リサーチ風景

なお、会期中プロジェクト関係者など によるトークイベントも開催する(要申し込み)。End

WONDER POWDER (ワンダーパウダー)

会期
2024年10月11日(金)〜15日(火)
開館時間
11:00-19:00  *15日のみ17:00まで *最終入場は閉館30分前入場無料
会場
AXISギャラリー
(東京都港区六本木5-17-1 4F)
主催
株式会社島津製作所
協力
アクシスギャラリー、HAKUTEN、東洋アルミニウム株式会社、三井化学株式会社
リサーチ&デザイン
安藤北斗・林登志也・青木陽平・関口愛理・猪上気広・黄綺樺(we+)、竹川諒・杉江智哉・長谷部臣哉(Shimadzu Design)
素材分析
株式会社島津テクノリサーチ
テクニカルデザイン
日下部理
エンジニアリング
佐藤駿次
グラフィックデザイン
庄司竜郎
写真
林雅之
コーディネーション
金森裕貴子、合田紘子
詳細
こちら
問い合わせ
we+

トークイベント:
WONDER POWDER Public Talk vol.1
WONDER POWDERは、どのように生まれたのか?
日時:10月11日(金)17:00-18:0
登壇者:竹川諒・杉江智哉(Shimadzu Design)、安藤北斗・林登志也(we+)
申し込み

WONDER POWDER Public Talk vol.2
「雰囲気学」とWONDER POWDER
日時:10月12日(土)17:00-18:00
登壇者:久山雄甫(神戸大学大学院准教授、神戸雰囲気学研究所代表) 、竹川諒・杉江智哉(Shimadzu Design)、安藤北斗・林登志也(we+)
申し込み

WONDER POWDER Public Talk vol.3
インハウスデザイナーが、海外出展するには?
日時:10月13日(日)17:00-18:00
登壇者:竹川諒・杉江智哉(Shimadzu Design)、安藤北斗・青木陽平(we+)
申し込み

株式会社 島津製作所
京都市に本社を置く、創業149年の精密機器メーカー。社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人 と地球の健康』への願いを実現する」のもと事業活動を続け、分析・計測機器や医用機器、産業機器、航空機 器など多様な製品を国内外に提供。医療や食品、マテリアルや環境・エネルギーといった幅広い分野に貢献している。2023年4月には、「世界のパートナーと共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーへ」を基本方針と する3か年の中期経営計画をスタート。「人の命と健康」(ヘルスケア)、「地球の健康」(グリーン)、「産業の発展、安心・安全な社会」(マテリアル、インダストリー)などの領域において、プラネタリーヘルス(人と 地球の健康)を追求していく。

Shimadzu Design(島津製作所 総合デザインセンター) /島津デザインは、島津製作所の製品外観やUI、コミュニケーション、調査、評価等も含めた幅広いデザイン活動を行う部門。1958年に中央研究部意匠研究室として発足して以来、「世の中にまだないものでも、たった一人のためでも、それが人々のためになるのであれば、やってみる」という創業者から受け継いだものづくりへの 信念を原点に、デザイン活動を行っている。

we+/リサーチと実験に立脚した手法で、新たな視点と価値をかたちにする コンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北斗により2013年に設立。利便性や合理性が求められる現代社会において、見落されがちな多様 な価値観を大切にしながら、自然環境や社会環境と親密な共存関係 を築くオルタナティブなデザインの可能性を探究している。デザイナー、エンジニア、リサーチャー、ライターといった多彩なバックグラ ウンドやスキルを持つメンバーが集い、日々の研究から生まれた自主 プロジェクトを国内外で発表。そこから得られた知見を生かし、R&Dやインスタレーション等のコミッションワーク、ブランディング、プロダクト開発、空間デザイン、アートディレクションなど、さまざまな企 業や組織のプロジェクトを手がけている。Dezeen Awards 2022 / Emerging Design Studio of the Year Public Vote(英)、FRAME Awards 2023 / Furniture of the year(蘭)、Wallpaper* Design Awards 2022 / Best Elements of Surprise(英)、EDIDA 2019 / Young Designer of the Year Nominee(伊)、日本空間デザイン賞金賞等受賞多数。作品は、Vitra Design Museum(独)に収蔵されている。