美しい自然と人工的な建築の境界を再考する
韓国・堤川のカフェ「CONCRETEWALL」

韓国・堤川(チェチョン)は、山々に囲まれた美しい「清風湖(チョンプンホ)」で知られている。その湖畔に、開放的でゆったりとした周囲の景色を楽しめるカフェ「CONCRETEWALL」が登場。設計は、ソウルを拠点とする建築オフィス NAMELESS Architectureが手がけた。

傾斜地に建てられた「CONCRETEWALL」は、文字通りコンクリートの壁に囲まれた地上2階・地下1階建てのカフェ。この建築の特徴は、壁の合間から草が生え、砂や砂利が露出する、自然と人工物との境目の曖昧さにある。自然に属しているのか、それとも人工物なのか、建築自体について再考することがNAMELESS Architectureのねらいだ。

建物は、壁と屋根という基本要素で構成。壁は、広々とした庭を区切るとともに、傾斜のある敷地に重ねられた各階をつなぐ役割を果たしている。その上に水平のプレートを渡すことで、外部空間と内部空間を区分した。そして、四角い建物となだらかな地形のあいだには隙間が生まれ、そこを風と光が通り抜ける。

「CONCRETEWALL」においては、コンクリートという人工物と、土や石、光や風、水や森といった自然が共存する。「両者につながりを見出すには、それらのあいだにある境界をよく吟味することが必要だ」とNAMELESS Architectureは説明する。End

Photo by Kyung Roh