グランドピアノを一新して新たな音楽体験を提供する
Whipsawのコンセプトピアノ「Ravenchord」

Courtesy of Whipsaw

サンフランシスコのデザインスタジオ Whipsawは、ペイズリー模様のような形状のコンセプトピアノ「Ravenchord」を公開。「フロントプロジェクション・アップライトピアノ」とも名付けられ、ファウンダー兼CEOであるダン・ハーデン(Dan Harden)の「ピアノに対する従来のイメージを一新し、ダイナミックで刺激的なものにしたい」という思いが込められている。

私たちが日頃よく目にするグランドピアノは、水平に大きく広がるボディに200本以上の弦が張られ、演奏中に鑑賞者がその内部の仕組みを見ることはできない。また、奏でられた音は響板や大屋根を介して広がるため、観客の耳に直接届かない。そして、譜面台や大屋根によって、演奏者の顔がよく見えない。こういった点を解消するために、構想されたのが「Ravenchord」だ。

Courtesy of Whipsaw

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最大の特徴は、従来のグランドピアノでは水平に張られた弦を90度縦にして、これまで見えなかった内側を強調した斬新なデザインにある。弦、ハンマー、ダンパーといった内部機構も見ることができ、音も直接に届けられる。また、ピアノと鑑賞者が正面に向き合うことが可能となり、演奏者の顔が隠れず、観客の表情を見ながら演奏ができる。前面のカバーを取り外せば、調律も容易だ。

Courtesy of Whipsaw

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外観は、ピアノならではの黒とメタリックな弦とのコントラストや、らせん状に弦が広がる構造により、エレガントな印象をもたらす。美しい音色だけでなく、形状や機構も含めて、鑑賞者に豊かな音楽体験を提供するピアノである。End