「NYC Corona 3K Public Preschool」 Photo by Frank Oudeman

ニューヨーク市クイーンズ区のコロナ地区は、近年著しい成長を遂げているエリアのひとつだ。しかし、多くの家族は新しく移住してきたばかりで、公的サービスを十分に利用できていない現状がある。また、この地区では18歳未満の人口が住民の30%以上を占めており、子どもの教育や親の雇用、コミュニティの発展が大きな課題となっている。

Photo by Circular

ファサード Photo by Frank Oudeman

このような問題を解決しようと、新しい保育園「Corona 3K Center」が同地区に誕生した。設計を担当したブルックリンに拠点を置く建築オフィス Circularは、デザイン性が高く、サステナビリティに配慮し、なおかつコミュニティの進展を促す施設の構築を目指した。

2階建ての建物は、施工にかかるコストや環境負荷を抑えつつ、必要な保育施設の確保に迅速に対応するため、建設途中だった商業施設を活用。7つの教室のほか、保健室、事務室、職員室、保護者向けのラウンジがあり、2階にはプレイルーム、地下には調理室や多目的スペースなどを配置した。

ロビー　Photo by Frank Oudeman

廊下は園児たちの作品を飾るギャラリーにもなる。Photo by Frank Oudeman

プレイルーム　Photo by Frank Oudeman

カラフルな外観は、活気のある周囲の街並みに合わせたもので、教室のドアや床、柱にもそれぞれのカラーが反映されている。床を帯状にカラーリングした廊下は、園児たちの作品を飾るギャラリーとしても利用できる。あらゆる設備は子どもから大人まで、誰もが使いやすいサイズに仕上げられている。

教室　Photo by Frank Oudeman

教室　Photo by Frank Oudeman

教室　Photo by Frank Oudeman

さらに、優れたエネルギー効率を実現するべく、パッシブデザインを採用した。壁や屋根に断熱材を施して熱効率を高め、三層ガラス窓により目の前の高架橋を走る地下鉄や交通量の多い道路の騒音を抑制する。また、屋上に設置された空調システムが、汚染物質の除去と除湿を行い、各部屋に新鮮で心地よい空気を送り込む。

吹き抜けの階段　Photo by Frank Oudeman

水飲み場　Photo by Frank Oudeman

幼児向けのトイレ　Photo by Frank Oudeman

Circularのデザインは、子どもや保護者からスタッフまで、「Corona 3K center」に携わるあらゆる人に元気を与える環境づくりに重きを置いている。