プロダクトから本来の用途を切り離し
造形を再考させるグループ展「Not Quite」開催

東京・日本橋馬喰町にあるギャラリー PARCELでは、イ・カンホ、橋本知成、太田琢人、矢口周太郎の4名によるグループ展「Not Quite」が2024年5⽉18⽇(⼟)から6⽉30⽇(⽇)まで開催される。

私たちが日常のなかで何気なく触れる椅子や焼物、工芸といったプロダクト、あるいはアートなどは、それぞれになんらかの「目的」を有している。では、本来備わった「目的」から逸脱し、カテゴライズ自体が無力化したとき、それらのフォルムやマテリアルをより純粋に享受できるのではないだろうか。こうしたコンセプトのもと、同展に参加する4名は、家具や物がもつ本来の用途から「目的」を切り離すことで、鑑賞者に対して、デザインや造形そのものについて再考を促していく。

韓国・ソウルを拠点とするイ・カンホ(Kwangho Lee)は、彫金出身であり、現在は工業用のワイヤーやロープを鍵編みしたベンチや照明、伝統的な七宝焼きをベースにした作品を制作。滋賀・信楽で活動する橋本知成は、焼物が持つフラジャイルなイメージとモルタルが持つマスキュリンな印象を組み合わせた、鉱物を連想させるような不思議な光沢で覆われた作品を得意とする。

イ・カンホ © Everlastsecon

橋本知成

デザイナーの太田琢人は、生活のなかでの取捨選択や物事の認知、社会システムなどを制作のテーマとし、インテリアからインスタレーションまで、既存の枠組みに捉われない作品を発表している。東京都内でインテリアショップ「YOU ARE WELCOME」を営む矢口周太郎は、巨匠のモダンデザイン家具から作者不明のものまでを扱い、独自の審美眼でフォルムや色彩がユニークなプロダクトに新たなコンテクストを与えている。

太田琢人

矢口周太郎

展覧会のタイトル「Not Quite」は、「~でなくもない」を意味する。この言葉にもあるように、これらの作家はいずれも、私たちがいつも見慣れている視点からはみ出した作品を展開している。居心地のよいカテゴリーを飛び出した「~でなくもない」作品に触れることで、デザインとアートのいびつで奇妙な相関関係や純粋な造形そのものを楽しむことができるだろう。End

Not Quite

会期
2024年5⽉18⽇(⼟)~6⽉30⽇(⽇)
開廊日
水曜~日曜(月曜・火曜・祝日は休み)
時間
14:00~19:00
会場
PARCEL(東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1 DDD hotel内 1F)
詳細
https://parceltokyo.jp/exhibition/not-quite/