イケア、家での暮らしの過去・現在・未来を紹介する
「Life at Home Report 2023」を発表

イケアは、2014年から世界中の人々に話を聞き、今の家での暮らしには何が重要であり、暮らしの改善のために同社がどんなサポートができるかを把握する調査を行っている。その最新レポートとなる「Life at Home Report 2023」が2024年3月に発表された。

日本の定量調査からのハイライト

自宅の室内環境をポジティブに感じている人は、グローバル平均では多いのに対して日本は少ないという調査結果が出た。それでも同社は、各自のニーズを刺激するソリューションの提案によって、「ポジティブ」な人を増やすことができる可能性があるとしている。

では、日本人の家での暮らしにおけるニーズとはなにか。レポートでは「楽しさ」「快適さ」「セルフケア」の3つを挙げており、自分のための時間と質のよい睡眠が欠かせない傾向を見出した。加えて、日本人の快適な睡眠には「部屋が適温であること」や「ひとりで寝ること」が重要だとする回答も得られた。

その一方で、「体の健康」と「心の健康」が日本人の家での暮らしの懸念点として挙げられている。さらに日本では、「家族や同居人よりも多くの家事を担っている」と回答した女性は38%であるのに対し男性は4%にとどまり、家事負担におけるジェンダーギャップの大きさが明らかになった。

グローバルレポートのハイライト

10年間の調査によると、家でのよりよい暮らしに必要な8つのニーズは「コントロール感」「快適さ」「セキュリティ」「セルフケア・育成」「帰属意識」「楽しさ」「達成感」「将来への夢や願望」である。しかしながら、生活費の高騰や気候変動の影響、テクノロジーの統合、戦争や紛争、パンデミックといったこの10年間の社会の変動は、家での暮らしにも大きな変化をもたらしている。

そのため、現在の私たちの暮らしは「活動を増やす vs 活動を減らす」「連帯感 vs プライバシー」「豊かな暮らし vs 身の丈に合った暮らし」という3つの選択を迫られる葛藤のなかにあるとリポートは示唆する。

レポートを締めくくるにあたり、イケアは2030年以降の未来に起こりうる3つのタイプの家での暮らしを提示した。ひとつは、テクノロジーの進化とともに遠く離れた場所ともつながり、家がひとつだけでなくなる「目的地にも家」。もうひとつは、地域社会への帰属意識と恒久的な安定、手近な資源の活用を重視する「しなやかな強さを備えたコミュニティ」。そして、テクノロジーを通じて自然との調和を促す「育まれる家」である。

写真左から1.遠く離れた家族がホログラムを使って日曜日の昼食に参加、2.バイオソーラーの壁紙は藻類を使って太陽光から発電、3.キノコの化合物を使った3Dプリンターでチェアを制作

写真家アニー・リーボヴィッツと共同プロジェクト作品「Life at Home」

そのほか、イケアが初めてアーティスト・イン・レジデンスを行なった写真家アニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)とともに、日本を含む世界7か国のリアルな家での暮らしの作品25点を公開。ひとびとの日々の暮らしとその背景にある彼らの物語は、私たちのこれからの家での暮らしの参考になるだろう。End

「A cup of tea with a ceramic artist」

「From pavement to purpose」