NEWS | アート / 建築
2023.12.25 13:48
イタリアのミラノ市立自然史博物館は館内のリニューアルを行い、人類の進化の歴史に関する新しい常設展示を2023年12月19日(火)にオープン。同市に拠点を置く建築設計事務所 Migliore+Servettoが展示デザインを手がけた。
同館は、23の展示室に700を超える展示ケースを備え、科学的に価値の高いコレクションを所蔵・展示する公共施設である。今回のリニューアルでは、「時間性(temporality)」をコンセプトに常設展示室を設計。多様な所蔵品を展示できるように、独立性と統合性に配慮した展示システムとした。
レイアウトは、「私たちは何者か?」「アフリカの奥地」「出アフリカ」「ホモ・サピエンス」という展示テーマに沿って4つに区分。各エリアの色分けと巨大なヴィジュアルにより直感的に理解できるように構成している。
その中央には、高さ4.5mのガラス張りの展示ケースを配置。霊長類の骨格標本を眺めるだけでなく、中央を通り抜けながらマルチメディア展示を体験したり、ヒトの祖先がアフリカから世界中に拡散した過程の解説を見たりと、訪れた人がリアルとデジタルの両方で楽しめる展示ケースとなっている。
各セクションの核となるこれらの展示ケースの周囲には、高さ2.5mの独立した展示キャビネットや、テーブル型・タワー型の展示ケースを複数展開。こうした設備は、展示内容の変更に簡単かつ迅速に対応できるように設計されている。また、4つのストーリーに連続性を与えるために、展示スペースの長手方向の両サイドに「く」の字型のディスプレイを配置。そこにタイムラインを提示することで、来場者は展示のストーリーを時系列で理解できる。
Migliore+Servettoを率いる建築家のIco MiglioreとMara Servettoは、「博物館は多様な観客にさまざまな方法で語りかける包括的な空間、いわば意識とアイデンティティの場所になりつつあると言えます。人々が出会い、再び訪れたくなる、そんな場所になるべきなのです」とコメントを寄せている。