NEWS | 建築
2022.10.11 13:30
シンガポールの金融街の中心部に、51階建ての新しい高層ビル「CapitaSpring」が完成した。Carlo Ratti AssociatiとBIGが共同で設計した複合施設で、クロスするようなファサードのラインや豊かな緑、コントラストを利かせたテクスチャーのダイナミックな相互作用でデザインされているのが特徴である。
地上では、歴史あるマーケットストリートを公共スペースに再現。歩行者専用の庭園エリアを作り、近隣のテナントや通行人のために緑地スペースを提供する。さらに、曲がりくねった庭園の小道は、タワーの下部にある高さ18mの広々としたオープンスペースへの自然あふれるエントランスとなる。
買い物客や食事をする人には、ポディウムにフードセンターを用意。2~3階に再現された象徴的なマーケットストリート・ホーカーセンターでは、56の屋台が楽しめる。
低層階の8フロアには、プール、ジャグジー、ランニングトラック、ジム、キッチン、ラウンジ、バーベキューピットなどの居住者専用のサービスがあり、上層階の29フロアは、シンガポール川とマリーナベイのパノラマビューに面した高級オフィススペースとなる。
オフィスと住居のあいだは「グリーンオアシス」と呼ばれるソフトスケープがある。これは、仕事、カジュアルな散策、リラクゼーション、エクササイズ、イベントが楽しめる、高さ35mの屋外庭園であり、この地域に見られるトロピカルな自然とモダンな建築をエレガントにつないでいる。
また、街の景色を一望できる屋上庭園には、1-Groupが運営するシンガポールでもっとも高いところにある都市農場がある。今のところ150種以上の果物や野菜、ハーブ、花が5つのテーマ別に栽培され、屋上レストランに新鮮な野菜を提供するそうだ。
BIGを率いるビャルケ・インゲルスは、「私たちのデザインはシンガポールの先駆的な垂直都市を目指すもので、高さ280mのタワーの内外には仕事や生活、遊びの場を提供しています。シンガポールの都市計画のユニークな特徴である『非常に濃密で緑豊か』をもとに、熱帯都市を垂直方向に探求するデザインを採用しました」とコメントしている。