3Dプリンタで木工品が作れる!?
イスラエルの大学が新しいインクと印刷技術を開発

▲Image credit: Doron Kam

私たちが木工品を作るとき、たいていはのこぎりでカットしたり、あるいは彫ったり、曲げたり、ときにはプレスしたりするだろう。こうした木工技術をアップデートしようと、イスラエルのエルサレム・ヘブライ大学の研究チームは、3Dプリンタを活用した木工品の開発に取り組んでいる。

研究チームがまず開発したのは、植物由来の天然バインダーであるセルロースナノクリスタルとキシログルカンを混ぜて、「木粉」と呼ばれるおがくずのような微粒子でできた、環境に優しい水性インク。これを使って3Dプリンタで木材を形成するのだ。

この際、プリント方法によって水分の蒸発具合が変り、さまざまな形状に変化することを発見。たとえば、平らな同心円状の円盤にすれば、乾燥・収縮してポテトチップスのような形成となる。また、中心から放射線状の円盤にすれば、ドームや円錐といった形状ができるという。

また、収縮はインクの木質繊維に対して垂直に起こるそうで、プリント速度を調整することでも形状をコントロール可能。ゆっくりとプリントすれば粒子の方向がランダムになり、すべての方向で収縮し、高速でプリントすれば繊維は一列になり、収縮の方向性がはっきりするそうだ。さらに、らせん状の木材も作れるようで、こうしたさまざまな形状のものを組み合わせて、椅子などの複雑なデザインの木工品を作ることが目標である。

研究チームは、各パーツをフラットな状態で発送できれば、出荷する際の大きさやコストを削減できる可能性があるとしている。そして、ユーザーが3Dプリンタを操作して自作の木工品をデザインしたりプリントしたりできる、そんな家庭向けのライセンスがあれば便利だろうと語っている。End