難病ALSを抱えるアーティストサポートする
Dentsu Lab Tokyoの「ALL PLAYERS WELCOME」

クリエイティブのR&D組織 Dentsu Lab Tokyoは、身体に障がいを持つ人とともに、その視点やクリエイティビティの力を借りて、誰でも表現ができるためのツールや環境をつくることを目指す「ALL PLAYERS WELCOME」プロジェクトを始動した。

▲PONE(Guilhem Gallart) 73 Beats

同プロジェクトは、従来のツールをもとに、身体性により表現を拡張するオリジナル操作UIの開発や無償提供を行うプラットフォーム。

第1弾として、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を抱えながらアーティストして活動する武藤将胤およびコンポーザーのPONE(Guilhem Gallart)とともに開発した、目の動きのみでライブ演奏ができるツールを無償で提供する。

開発されたのは、自由視点による演奏装置「EYE XY PAD」、リアルタイムでより容易なトラック操作を可能にする「EYE MIDI PAD」、異なる地点での生演奏時に発生する遅延の問題を解消する遅延対応リモート演奏装置「SHOOTING PAD」の3種である。

▲自由視点による演奏装置「EYE XY PAD」
Ableton Liveをベースに目の動きだけでリアルタイムなエフェクト操作やシンセサイザーの演奏が可能なUIを設計。XY座標ごとに音階やリバーブエフェクトなどの様々なパラメーターを仕込んでおり、目で自由自在に操ることで直感的な音色を出すことが可能である。また、Ableton Liveとの連携を設定することで、自身で制作したエフェクトやシンセサイザーを操作することができる。

いずれも目の動きのみで演奏可能なツールで、子どもや初めて楽曲を制作する人をはじめ、幅広い人が活用できるという。

▲リアルタイムトラック操作UI「EYE MIDI PAD」
リアルタイムな操作が難しいWindows Controlなどのツールでも、効率的な音源再生操作を可能にするUIを設計。Ableton Liveの「セッションビュー」と連携することで、一般的なライブの現場でプレイヤーがMIDIコントローラーを用いて行う音源の再生と、同じ操作を実現することができる。

▲遅延対応リモート演奏装置「SHOOTING PAD」
Ableton Liveをベースに、オンラインでの演奏を行う上で必ず発生してしまう通信の遅延を逆手にとり、どのような遅延が起きても、タイミング良く共演が可能なUIをAbleton Liveをベースに設計。遅延を考慮した音声の再生タイミングを3次元UIの奥行き方向に可視化することで、遅延を考慮した音源操作を実現する。今後の展開として、VRでの体験などアップデートを予定している。

また、2022年6月24日(金)には、フランス・カンヌで行われる2022カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにて、コラボレーションライブパフォーマンス「ALL PLAYERS WELCOME」を披露する予定だ。End