NEWS | サイエンス / フード・食
2022.04.04 14:28
日清食品ホールディングスと東京大学大学院情報理工学系研究科・竹内昌治教授の研究グループはこのほど、「食べられる培養肉」の作製に日本で初めて成功したことを発表した。
世界的な人口増加やライフスタイルの変化により、将来的には地球規模で食肉消費量の増加すると予想されている。その一方で、畜肉の生産による地球環境への負荷や、家畜を育てるための飼料や土地の不足も大きな問題となっている。
そこで開発されたのが「培養肉」である。畜肉の細胞を体外で組織培養してできた肉で、家畜の飼育と比べて地球環境への負荷を低く抑えることができ、畜産のように広い土地を必要としないのが特徴だ。
さらに、無菌状態での培養が可能で、病原性大腸菌などの有害菌による汚染のリスクがないなど、厳密な衛生管理を実現。こうしたさまざまな利点から、「培養肉」は食肉の新たな選択肢のひとつとして期待されている。
両者は2019年、世界で初めて牛肉由来の筋細胞を用いたサイコロステーキ状 (1㎝×0.8㎝×0.7㎝) の大型立体筋組織の作製に成功。また今回、両者は「食用可能な素材のみを使用すること」と「研究過程において食べられる制度を整えること」という課題をクリアし、「食べられる培養肉」が完成、人による官能評価も可能となった。
今後は肉本来の味や食感を持つ「培養ステーキ肉」の実現に向けて、立体筋組織のさらなるサイズアップや、おいしさと低コストを両立する大量生産技術の確立を目指すそうだ。