鋼よりも強くてプラスチックのように軽い
簡単に大量生産できる素材をMITが開発

▲Image: polymer film courtesy of the researchers; Christine Daniloff, MIT

鋼よりも強くてプラスチックのように軽い、さらに簡単に大量生産できる、そんな夢のような素材を作ることができるだろうか。米マサチューセッツ工科大学の研究チームが取り組むのは、まさにこのような素材だという。

研究チームが用いるのは新しい「重合反応」。スパゲッティのような鎖状に形成される一般的なポリマーとは違い、これまで作ることが不可能だとされてきた、シート状に広がりをもって自己形成していくポリマーだそうだ。

研究では、ポリアラミドと呼ばれるシートを生成する新しい重合プロセスを考案。モノマーの成分にはメラミンと呼ばれる化合物を使用する。最適な条件下で、これらのモノマーは平面的に大きくなり、円盤状になる。これらは互いに重なりあい、各層は水素結合で結合するので、非常に安定して強力な構造となる。

さらに、この素材は溶液中で自己形成するので、原料の量を増やすだけで大量に製造でき、研究チームが「2DPA-1」と呼ぶフィルムで、さまざまな表面をコーティングできるとしている。

変形のしにくさを示す弾性率は、防弾ガラスの弾性率と比べて4倍から6倍もある。密度は鋼の約6分の1しかないが、耐力は鋼の2倍もある。また、ガスを通さない特性も備えている。用途としては、自動車の部品や携帯電話など向けの軽量で耐久性のあるコーティングや、橋やその他の構造物の建材などを見込んでいる。End