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2021.09.02 17:15
私たちは日常生活のなかでさまざまなデバイスを使用しているが、これらを充電するときに厄介なのがごちゃごちゃとしたケーブルだ。
そこで、こうしたケーブル群をすっきりさせようと、米ミシガン大学と東京大学の笹谷拓也特任助教が新しい充電システムを開発した。それは、部屋全体を充電ゾーンに変えるような無線充電システムである。
研究チームによると、磁場を使うことで50ワットの電力を供給することができるそうで、スマートフォンやノートパソコンをはじめ、医療機器や家庭用のモバイルロボット、さらには製造施設のデバイスまで、さまざまなものが充電可能になるという。
さらに、部屋ほどの広さでなくても、ツールボックスのような小さいスペースに搭載すれば、その中に入れたツールがつねに充電できるようになる。病院内の医療機器も、電源ケーブルなどがなくなれば、患者の生活の質が向上し、感染症のリスクも減るとしている。
東大の研究チームは、約3m四方の専用のアルミ製の小部屋を作り、実証実験を実施。人や家具の位置にかかわりなく、部屋のどこでも照明や扇風機、携帯電話にワイヤレスで電力を供給することができた。
また、壁を導電性表面にし、磁場を生成する導電性ポールを取り付けることで、従来のワイヤレス充電システムと比べ、有害なマイクロ波の放出や充電パッドの使用といった問題点も大幅に改善している。
研究チームによれば、商業施設や住環境でのこのシステムの実装は数年先になると予測。現在はミシガン大学の施設内で実験を続けており、2021年秋には標準的な建設技術を使った部屋で、新設や後付けによる実証実験を行うことにしている。