ARで伝統的な職人技を復活させる
建築プロジェクト「2021: A Steam Odyssey」

英ロンドンを拠点とするデザインスタジオ SoomeenHahm Designが手がけた「2021: A Steam Odyssey」は、ARを活用することにより、伝統的な職人技によるものづくりを復活させることを目指したプロジェクトである。

100%自動化されたロボット駆動による製造プロセスと、人間の手作業が求められる高度な職人技をつなぐために、精密かつ形状の自由度が高いデジタルモデリングを使いながら、手を使って素材にアプローチするスキルを拡張させることがねらいだ。

2021年7~8月に行われた展示で披露した「2021: A Steam Odyssey」は、蒸気を使って曲げた硬材でできた構造物で、素朴なハンドツールを使用し、さらには精確なホログラフィックガイドも活用した。

▲クレジット:2021: A Steam Odyssey

最先端のヘッドマウントデバイスによるホログラフのサポートを受けながら、従来の職人技術を使うことで、非常に多様なパーツの製造と組み立てが可能となり、たんにデジタル設計をした構造物とは違った、新たな構造物が実現することになる。

プロジェクトを率いたデザイナーでロボット工学研究者のSoomeen Hahmは、「ARアシストによる製作は、オートメーションやロボット工学の代わりになるものではなく、自動化生産についての認識を深めることを目指すものだと理解することが重要です」と語る。

▲クレジット:2021: A Steam Odyssey

続けて、「私たちは、人間と機械、データのあいだで生じるインタラクションや、コンピューテーショナル・デザインと製造プロセスを通じたこれら相互の関係性を探求する関心があります。『2021: A Steam Odyssey』はこうしたアイデアに基づいています」とコメントしている。End