東大生研、廃棄食材から完全植物性の新素材を開発
原料の色や香り、味を残すことも可能に

▲廃棄野菜、果物から製造した素材の例① 左からキャベツの外皮、いよかんの皮、玉ねぎの皮

東京大学生産技術研究所の研究チームが、廃棄食材から作る完全植物性の新素材の製造技術を開発したことを発表した。

この素材は、野菜や果物などの廃棄食材を乾燥させて粉砕させたものに、適量の水を加えて熱圧縮成形したもので、コンクリートの4倍近い曲げ強度を有するなど、建設材料として使える十分な強度があるという。

▲廃棄野菜、果物から製造した素材の例② 左から玉ねぎの皮、製造温度が異なるいよかんの皮2種、茶葉、製造温度が異なるキャベツの外皮2種

今回は、東京大学工学部社会基盤学科4年(研究当時)の町田紘太さんと同生産技術研究所の酒井雄也准教授が、同生産技術研究所 豊島ライフスタイル寄付研究部門での作製に着想を得て開発。

▲同素材開発の着想となった、豊島ライフスタイル寄付研究部門での廃棄物を原料とした各種試作品(Dust to Dust

▲上から、パイプ、ボウル、蓋、タイル、キャップ。廃棄物を原料に、ユーザの注文により様々な形へ加工し、活用する方法を考案した。

さらに、製造条件を調整することで、原料の香り、質感の維持や除去、色の調整などを行い、粉末にした廃棄野菜や果物に塩や砂糖、コンソメパウダーなどの調味料を加えることで、強度を維持したまま味を向上させることもできたそうだ。

廃棄野菜や果物の焼却や埋め立て、堆肥化による窒素過多を回避したり、資源採取が不要になったりと環境負荷の低減が期待されるほか、建設材料程度の強度を保ちながら使用後には食用として供することができる素材としての活用も見込まれている。End