BMWジャパン
フォントはブランドの世界観を表わすデザインエレメント

2020年3月にCIが刷新されたBMW。新ブランドロゴに合わせてオリジナルフォントも新しくなり、和文はAXISフォントが採用されました。デジタリゼーションが進むなかで、デジタルメディアや動画で使いやすいロゴやフォントが求められる広告の世界。AXISフォント採用の理由を、ビー・エム・ダブリュー株式会社でブランド・コミュニケーションを担当されている井上朋子さんに聞きました。

▲ビー・エム・ダブリュー株式会社 BMWブランド・マネジメント・ディビジョン ブランド・コミュニケーション
マネジャー 井上朋子さん
Photo by Kaori Nishida

2D化されたBMWの新ブランドロゴ

——BMWジャパンにおける井上さんの役割を教えてください。

私は、BMWのブランドを管理する部門で、日本市場向けの広告やウェブサイトなど顧客とのあらゆるコミュニケーションを担当しています。またドイツ本社から提供されるCIやVIのガイドラインを日本で展開したり、販売会社やディーラーへの情報提供も行っています。

——2020年3月にBMWのブランドロゴが新しくなりました。
(※市販車の内外装については従来のロゴを継続使用)

はい。ドイツ本社で新しいCI・VIが策定され、ブランドロゴについては3Dから2Dのロゴマークに変わりました。それまで、3Dロゴの背景は白い四角で下部に「駆けぬける歓び」というコピーを入れるのが決まりでした。新ブランドロゴは2D化し、BMWが開かれたリレーションシップブランドとして、より多くの顧客にBMWの世界を体験してもらいたいというメッセージを込めています。

▲2DとなったBMWのブランドロゴ。

——2D化の意図は?

ドイツ本社で新ブランドロゴが設計された背景には、世界中でデジタリゼーションが進むなかで、メディアを問わずあらゆるタッチポイントに通用するロゴであることが求められました。ロゴの周りのリングは透明になり、印刷物でもウェブでもロゴを配置すると背景が透過し、顧客とのつながりを強固かつフレキシブルに表現します。また、新CIではロゴやヘッドラインの配置の自由度が高くなり、媒体やキャンペーン内容に合わせて大胆なレイアウトのデザインが可能になりました。

——フォントも刷新されました。

はい。新CIのなかではロゴだけではなくフォントの変更もありました。欧文および数字のフォントについてはドイツ本社からBMW Type NEXTというオリジナルフォントが提供され、それに合う和文フォントをBMWジャパン側で検討しました。BMW Type NEXTと組み合わせたときに違和感がなく、BMWの世界観を損なわないこと。さらにモダンなテイストであるといった条件を満たしているAXISフォントが採用されました。

BMWオリジナルフォントとの相性の良さ

——どのような広告で使用しているのでしょうか。

日本で初めて新ブランドロゴとAXISフォントを使用したのは、2020年3月に発表したBMW 2シリーズ グランクーペの広告です。このとき、ゲームキャラクターのパックマン(Pac-Man)とコラボレーションしました。

2シリーズ グランクーペは、2シリーズのなかで初めて打ち出したスポーティなモデルです。クーペという流線型の美しいデザインでありながら、4ドアで十分な空間を持ち、車幅も日本の駐車場事情に合う。しかもエントリーモデルは400万円を切る価格帯です。ターゲットは子どもを持つ40代の男性。スポーティな走りやかっこいいデザインも好きだけれど、実用性も大事という世代の望みをすべて叶えるクルマなのです。

そんなクルマの広告コンセプトは「GAME CHANGER」、それまでの常識を破っていくマインドを提示したいと考えました。そのGAMEに掛けて、ターゲット層が子どもの頃に親しんでいたパックマンというキャラクターを採用しました。例えば「ガイシャ(外車)って高いのでは?」といった先入観をパックマンが軽快に食べてしまうイメージですね。

——CMや動画はアップテンポで快活なイメージです。実際に新しいCIを運用していかがでしたか。

今までと全然違いますね。モダンで現代的ですし、「GAME CHANGER」というコンセプトにもマッチしている。社内でもみんなが「新しいCIが好き」と言っています。

ロゴやフォントはブランドイメージを担います。BMWはプレミアムブランドの位置付けですが、競合に対して私たちはモダンラグジュアリーという、よりエネルギッシュで精神的にも若々しく、未来を見据えていくような姿勢を打ち出しています。新しいCIは、そうした姿勢を表現するのに適していますし、SNSや動画などネットメディアでも活用しやすいですね。

——AXISフォントについてはいかがでしょうか。

採用したのは最も細いEL(Extra Light)で、見た目もすっきりして今どきっぽいというか、先進的なイメージがあります。何よりもオリジナルフォントのType NEW NEXTと並べたときに違和感がなく、相性がいい。どのような背景に配置しても視認性が高く、広告にも使いやすいです。

世界はたいせつなものであふれている

——今後について教えてください。

今年、BMWジャパンは設立40周年を迎え、大規模なブランドキャンペーンを展開していく予定です。プレミアムブランドとしての快適性、安全性、そしてクオリティに対するイメージアップを図りながら、日本市場におけるBMWの価値をさらに高めていきたい。具体的には「世界はたいせつなものであふれている。」というメインコピーを掲げます。BMWは、クルマとそれを運転する人だけではなく、その周りにいる大切な人たちとの時間、社会や環境、未来のことまでブランドを通じた体験すべてに責任を負っている、というストーリーを展開していきます。

——クルマを前面に打ち出すビジュアルではないのですね。

はい。このコミュニケーションでは、人にとって大切なモーメント(瞬間)を中心に取り上げ、車はその一部として切り取っていきます。今までとは違う世界観になるはずです。

——最後に、BMWのブランドマネジメントにおいてフォントとはどういう存在なのでしょうか。

広告には文字というものが必ず出てきますので、フォントはとても大切な存在です。BMWが先進的かつ独自性あるブランドとして、その世界観を体現するために必要なデザインエレメントだと考えています。その上で、AXISフォントは使い勝手がよく、個人的にもとても気に入っているフォントです。End

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