NEWS | プロダクト
2021.04.15 16:00
芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科の酒井康徳助教らの研究グループは、傾斜支柱の構造体(スクイザ)を利用して振動によるスクイズ運動(並進と回転の複合運動)を発生させ、回転させずに穴を開けるドリルを開発した。
従来の回転するドリルは、微小径のドリルほど回転数を上げる必要があり、エネルギー効率が悪く、形状精度の低下や加工部を冷却する必要があるなど、さまざまな課題も伴うとされる。
そこでこの研究では、加振機に取り付けたスクイザでスクイズ運動を発生させることで、ドリルの先端に回転運動を与えた。
これにより、スクイザ・ドリル・ドリルホーンで構成されたシンプルな工具を並進方向に振動させるだけで、スクイズ振動による断続切削を実現。回転モーターを使わずに、加振周波数に合わせた周速数で切削することができるという。
さらに、直径100um以下の微細穴を印刷回路基板などにせん孔する場合には、スピンドルを通常100~300krpmで回転させて十分な工具周速を得る必要があるが、この研究では振動によって、同様の周速を容易に得られることを確認。
また、並進運動で穴を出入りすることにより、切りくずの排出と加工部の冷却が効率よく行われ、一度に複数の穴の加工も可能になるそうだ。