NEWS | 建築
2021.04.09 16:25
インド・グルガーオンにあるSt. Andrews Institute of Technology and Managementに、「Boys Hostel Block」と呼ばれる男子学生寮がある。そのデザインは、コミュニティの雰囲気を醸成しながら、大学校舎の現代的な性質も反映しており、機能や環境の面でサスティナブルな、流動性のある空間としている。
デリーに拠点を置くZero Energy Design Labが手がけた建物は、主にレンガを用いており、その特徴を引き出すように細やかな設計がなされた建築で、水平方向に伸びるデザイン。ファサードは打ち放しコンクリートの頑丈な支持構造からなる、限定されたマテリアルのパレットを用いている。
さらに、今日の時代性や技術と結びついた、インドのヴァナキュラー建築を再解釈。屋内空間は外観を拡張したデザインとして学生と空間のインタラクションを促し、パッシブデザインによって建物内をレイヤーにすることで、学生どうしの心地よいコミュニケーションを生み出すという。
歪んだような中央のアトリウムは、自然光が建物の奥深くまで差し込むだけでなく、煙突効果によって建物内のよどんだ熱気を放出する機能も担っている。
このブロックには、360人を収容する学生寮のほか、レクリエーション施設と食堂施設を完備。トリプルハイトのゆったりとした室内は、ユーザーエクスペリエンスを高め、屋外の広々とした景色も楽しめるそうだ。
1階は部分的に角度のついたボリュームとなっており、これに直線的な形状の2階部分を組み合わせることで、南側のファサードには屋根のあるエントランスを、北側にオープンテラスを設けている。
Zero Energy Design Labは、レンガ造りの外壁にさまざまなソフトウェアを駆使し、「ジャーリ」と呼ばれるパターンをデザインすることで、断熱効果と自然光の流入を実現。
直接放射される熱エネルギーを70%削減して快適な居住空間を提供しつつ、250ルクス程度の採光も可能。屋内と屋外のあいだにある幅1.2mのバルコニーが、年間を通して建物の平均温度を抑えてくれる。