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2021.03.05 16:55
メディアアーティストの落合陽一が率いるピクシーダストテクノロジーズ(PxDT)は、近年注目される社会課題のひとつである「騒音問題」を解決することを目指して、音響メタマテリアル技術を用いた革新的な吸音材「iwasemi™」を開発した。
「メタマテリアル」とは、波長以下の微細な周期形状に対して自然界にはない振る舞いをする人工物質の総称。また、「音響メタマテリアル技術」とは、このメタマテリアルの概念を音響分野に適用し、自然界にはない音響特性を持った物質を生成する技術のことである。
今回開発された「iwasemi™」は、こうした音響メタマテリアル技術にPxDT独自の吸音設計技術を応用して開発された吸音材。
その特徴として、特定の周波数帯のみ吸音率が上がる性質や、低帯域から高帯域まで万遍なく高い吸音率を示す性質など、適用シーンに応じた柔軟な吸音周波数特性を実現することができる。
さらに、吸音材を厚くせずに吸音率を上げることができるので、一般的な吸音材と同等の吸音率のまま、薄型化を実現することも可能だという。
また、一般的な吸音材であるグラスウールなどの多孔質構造では、意匠性や強度が限定されるが、「iwasemi™」は共鳴構造を採用しているので、ABSやステンレス鋼、アクリルといった素材でも高い吸音率を実現。
これにより、透明色を含むカラーバリエーションや表面処理によるテクスチャ表現などの意匠性を考えた吸音材や、強度の高い吸音材、吸音材を応用製品と一体に成形したものまで実現できるとしている。
同社は、工事や建材、什器、鉄道、自動車などさまざまな分野でこの吸音材の社会実装に協力できるパートナー企業を募集するそうだ。